強制徴用被害者たちが当該の日本企業資産を差し押さえに

韓国から弁護士が参加し報告した

写真は、2018年 11月11日水道橋のスペースたんぽぽで開かれた「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」結成集会のもの。韓国から弁護士が参加し報告した

5月1日、日本製鉄(現新日鉄住金)および不二越の強制動員被害者代理人団は「新日鉄住金が所有したPNR社の株式19万4794株(額面価基準9億7400万ウォン)の売却命令の申請を大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支院に、不二越が所有した大成NACHI油圧工業の株式7万6500株(額面価基準7億6500万ウォン)の売却命令の申請を蔚山(ウルサン)地裁に提出した」と明らかにした。以下は日本製鉄、不二越の国内資産売却申請を行った、強制動員被害者訴訟代理人及び支援団によるプレスリリースである。


日本製鉄と不二越の韓国内資産売却等に対する訴訟代理人及び支援団の公式な立場

2018年10月30日、韓国大法院が日本製鉄(旧新日鉄株式住金、新日鉄株式住金は2019年4月1日、会社名を日本製鉄に変更した)に強制動員被害者に対する賠償責任を認めた判決を下して6ヶ月が過ぎました。上の判決以後、三菱重工業、不二越に対する賠償判決も相次いで下されました。

日本製鉄及び不二越強制動員被害者代理人及び支援団(以下「代理人及び支援団」とする)は上記大法院判決以後、被告企業に自発的に判決を履行するように要求し続けたが、今日まで何ら誠意のある答弁を聞けませんでした。 私たちは被告企業に不当な圧力を加えている日本政府、そして日本政府の顔色を見るのに汲々として、判決を履行しないでいる被告企業の態度に強い遺憾の意を表わします。 このような日本政府と企業の対応はあまりにも遅延した、国際法上被害者の権利実現を妨害するまた異なる人権侵害に該当します。

 韓国強制動員被害者は去る2000年5月1日、「労働者の日」を迎え三菱重工業を相手に、韓国内で強制動員損害賠償訴訟を初めて起しました。 日帝時期強制動員の問題は「強制労働禁止」という労働人権の核心に違反した事件だからです。その時から19年過ぎた今日、そして2018年10月30日に大法院の全員合議体判決が下されて半年が過ぎた2019年5月1日、メーデーに代理人及び支援団は二つの企業の差し押さえられた資産に対する現金貨手続きの開始、及び三菱重工業に対する財産明示申請の事実を、次の通り発表します。

1.日本製鉄差し押さえ資産売却命令申請内容

代理人は2019年5月1日大邱(テグ)地方法院浦項(ポハン)支院で「日本製鉄が所有している株式会社P&Rの株式194,794株(額面価を5,000ウォン基準として973,970,000ウォン)」に対する売却命令申請を受付けました。売却命令申請の対象になったP&Rの株は、強制動員被害者5人の損害賠償債権を権限として2019年1月及び同年3月頃に差し押さえられた株です。

2.不二越差し押さえ資産売却命令申請内容

代理人は2019年5月1日蔚山(ウルサン)地方法院で「不二越が所有している株式会社大成(テソン)ナチ油圧工業株式会社の株式76,500株(額面価を10,000ウォン基準として765,000,000ウォン)」に対する売却命令申請を受付けました。 売却命令申請の対象になった大成ナチ油圧工業の株は、強制動員被害者23人の損害賠償債権を権限として2019年3月頃に差し押さえられた株です。上記差し押さえ時点で不二越強制動員被害者23人の損害賠償債権額は遅延利子を含む3,496,711,558ウォンでしたが、不二越が所有する大成ナチ油圧工業の株の額面価総額がこれよりも少ないので、所有する株の全体を差し押さえたし、これに対する売却命令申請をしました。

3.三菱重工業に対する財産明示申請

韓国大法院の確定判決にもかかわらず、三菱重工業は自発的な債務履行をしませんでした。 代理人は三菱重工業の韓国内財産を確認するために、民事執行法が定めた財産明示申請を2019年4月24日ソウル中央地方法院で受付けました。 三菱重工業の商標権と特許権等が既に差し押さえられた事実がありますが、知的財産権以外の不動産等の財産を確認するために、財産明示申請をしました。

以後ソウル中央地方法院は三菱重工業に特定日までに財産の内訳を提出せよという財産明示決定を下すでしょうし、三菱重工業が正当な理由なしにこれに従わない場合、債務不履行者名簿登載等、不利益を受けることがあります。

4.代理人及び支援団は、被告企業との交渉意志を依然持っている

代理人及び支援団は去る2019年3月26日、報道資料で「90歳前後の生存被害者の方々の齢を考慮した時、現金化を遅らせる最後の線に至っています。この点に対して日本企業だけでなく、韓国と日本両国政府も明らかに認知するべきです」と明らかにしたことがあります。上記立場発表以後、如何なる協議の意志も確認できない状況で、確定判決から半年が過ぎた今、これ以上現金化の手続きを遅らせることはできないと判断しました。

今日、売却命令申請以後、現金化対象になる資産(株)の市場価値を確認する鑑定の手続きが進行されるでしょうし、鑑定が完了すれば株の売却が成立するでしょう。したがって株が実際の売却される時まで、2ヶ月以上の期間が必要とされるものと予想されます。

ただし代理人及び支援団はこの間、強制動員加害企業とは依然包括的な協議の意志を有していることを明らかにします。加害企業が今からでも「植民地朝鮮」の若者たちに奴隷のような強制労働をさせた歴史的事実を認め、被害者に謝って協議に応じることを希望します。

2019年5月1日

日本製鉄、不二越強制動員被害者損害賠償訴訟

代理人 金世恩(キム・セウン)、林宰成(イム・ジェソン)(法務法人ヘマル)

■参考
強制徴用被害者ら、日本戦犯企業の差し押さえ資産の“現金化”に着手(ハンギョレ新聞 5月1日)
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/33367.html