韓国・光州市役所で日本企業の徴用工被害者・遺族らが訴訟へ

韓国・光州市では強制徴用・動員被害者の問い合わせが殺到(ハンギョレ新聞より)

韓国・光州市では強制徴用・動員被害者の問い合わせが殺到(ハンギョレ新聞より HP版)

かねてより韓国の強制動員被害者訴訟を支援する運動体が、過去の日本企業の強制動員に対して集団訴訟を行う、と表明していたが、この度、光州市で勤労挺身隊おばあさんと共にする市民の会と民主社会のための弁護士会(民弁)光州・全南支部が、日帝時代の光州(クァンジュ)・全羅南道地域の強制徴用被害者の申請を受け付け、日本企業を対象として損害賠償請求集団訴訟を起こす方針だと明らかにしたため、問い合わせが殺到したという。以下、市民の会のレポートを紹介する


日帝労務動員被害集団訴訟、5日間で239件受付け

恨み多い事情を抱き光州市役所の嘆願室受付窓口毎日、大変な混雑、炭鉱というだけで当時、動員した企業名も分からない。遺族は気が気でない。

かつての軍人、軍属被害者は無念に引き返したり、光州全南地域の日帝労務動員被害者らが日本の戦犯企業を対象にする集団訴訟参加申請が、去る3月25日から始まった中、3月29日まで5日間で合計239件が受付けられた。

日付別では3月25日が42件、26日29件、27日52件. 28日57件、29日42件、書留郵便受付が17件である。去る3月19日の記者会見以後、訴訟に参加する電話での問い合わせも500件を越えた。

訴訟受付が始まった去る25日から被害者家族の申請と相談問い合わせで、光州市役所の嘆願室に用意された受付窓口は5日間続きで、大変な混雑になった。

申請者たちの残念な事情も列をなした。徐某氏(73歳、光州市南区真月洞の父親は1941年5月、巡査によって強制的に連行され長崎にある炭鉱に動員された。1945年切羽での作業中、天井が崩れたせいで頭、胸などに大ケガをした。以後、長崎大学病院に入院して応急治療を受け、1945年11月に海南の自宅に帰国した。病床に横になり毎日血を吐き、5年間苦しんで1950年2月、42歳の若さで死亡した。息子の徐さんは「小学校は1年だけ通い、父の病気のせいで中退した後、学校に通えなかった」と鬱憤を吐露した。

光州市西区良洞に住む安某さん(50歳)は、貴重な資料を持参した。祖父が長崎県西彼杵郡に所在する三菱鉱業(株)崎戸炭鉱に動員され、死亡した理由が書かれた日本人研究者の手紙だ。日本人で朝鮮人強制動員の研究者林えいだいさんが朝鮮人強制連行に対して調査していて間発見した火葬許認可証にある被害者の名前を見て、1990年被害者の本籍地で被害者の死亡経緯が入っている事実を記した手紙を送ってきたのだ。その手紙には被害者が働いていた場所が、正確に書かれていた。

羅州の羅某氏(51歳)は、母の事情を持って来て申請した。お母さんの崔某さん(89歳、生存)は、13歳で光州カネボウ紡績工場に動員され一日12時間以上布を織る仕事をしたが、当時日本人管理者から暴行され片方の目を失明した。失明した後、人の多い所には行くこともできず、70年余り佗びしい生活を送って来た。羅さんは「片目だけで一生を過ごされた母の人生は、何をして貰っても補償になられないが、真心に充ちた謝罪と補償を必ず受け取りたい」と、訴訟に参加する申請をした。

電話で問い合わせしてきたある被害者の家族は、母方のおじ3人が皆、強制動員された。二人は当時動員地で死亡し、1人は行方不明だ。母方のおじ三人全員結婚しない状態で動員され、死んだり行方不明になる無念な思いを強いられたが、母方のおじの両親兄弟全員亡くなった後なので、慰労金を一銭も受け取れなかった。現在残った最も近い家族が孫である自身だが、母方のおじと母方の祖父、母方の祖母の血と汗の恨を晴らしたいと、訴訟が可能か尋ねている。

京畿道安山に居住する金某氏(65歳)は、今まではどこに訴えたら救済を受けられるのか方法が判らず、何の声も出せなかった。今回、集団損害賠償訴訟を進めるというニュースを聞き、本当に幸運と思った。何よりも父親が遺言として残した「私が死んだ後に、その恨を晴らして欲しい」という言葉に、子息としての道理から参加することにしたと、感謝を伝えた。

今回の集団訴訟は、光州全南に居住している日帝戦犯企業労務動員被害者で、韓国政府から被害事実を認められている被害者が申請対象だ。これをよく知らないでに来た軍人、軍属の被害遺家族たちは、後に機会がある時は連絡を欲しいと、無念な思いでに引き返った。

また炭鉱で働かされたことは分かるが、どこの炭鉱で働いたのか判らないある遺族は、「当時、とても幼くて、父の言葉をきちんと記録できなかったことが後悔だ。」と悔しがった。一方、政府を通じて被害者に認められた光州全南地域労務動員被害者だけで、合計2万 6,540件になる。

今回の訴訟に参加するためには、行政安全部の「対日抗争期強制動員被害支援課」(02-2195-2300)から「強制動員被害審議決定通知書」1通(動員企業及び動員年月日確認資料含む)、「国外強制動員犠牲者慰労金等支給決定書」(該当者の場合) 1通、除籍謄本、家族関係証明書、住民登録謄本が1通ずつ必要だ。受付は4月5日まで、光州市役所1階嘆願室に用意された受付窓口で出来る。

「民主社会のための弁護士の会、光州全南支部」と「勤労挺身隊おばあさんと共にする市民の会」は申請受付が終われば、まず被告企業の特定が可能な申請者を選別する作業を経て、4月末までに追加訴訟を起こす予定だ。

2019年3月31日

勤労挺身隊おばあさんと共にする市民の会
共同代表 李国彦、安英淑、金正煕

(翻訳:李洋秀)

「父の無念、晴らせますか」…強制徴用の集団損害賠償訴訟の問合せが殺到(ハンギョレ新聞 3月22日)
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/33076.html