韓国人靖国無断合祀・軍人軍属強制動員問題の解決を

東京地裁前で不当判決に抗議する原告・弁護団。ノー!ハプサ(合祀)

東京地裁前で不当判決に抗議する原告・弁護団(2019年5月28日)。ノー!ハプサ(合祀)より

1月20日(月)ノー!ハプサ第2次訴訟審の第1回口頭弁論が東京高裁101号法定でおこなわれた。その後18時半より港勤労福祉会館で「韓国人靖国無断合祀・軍人軍属強制動員問題の解決を!1.20集会」が開かれ、原告からのあいさつ、弁護団からの報告と控訴審方針の説明があり、「歴史清算をめぐる動きと日韓市民の課題」と題して、矢野秀喜さんの講演があり、その後は太平洋戦争被害者補償推進協議会の李熙子(イ・ヒジャ)さんが遺族からということで発言があり、最後に「戦没者の遺骨を家族の元へ」連絡会から遺骨返還の活動の報告と外務省・厚生労働省との意見交換会の参加要請があった。

ノー!ハプサ(合祀)とは、日本国憲法で政教分離が定められているにも関わらず、厚生省(当時)が靖国神社に提供した名簿「祭神名票」によって戦死者たちが合祀がされてきた問題で、靖国神社がA級戦犯とともに旧植民地出身者を遺族に何の断りもなく合祀している。韓国の遺族たちは加害者である戦犯らとともに祀られていることは、不当であり屈辱的であると告発し、日本政府・靖国神社の責任を問うため裁判を起こしている(2007年2月26日、靖国神社と国を被告として霊璽簿からの氏名の削除・謝罪と損害賠償一人当たり「1」円の支払いを請求して、遺族10名たちが東京地方裁判所に提訴)。

■歴史清算をめぐる動きと日韓市民の課題
矢野秀喜さん(強制動員問題解決と過去清算のための共同行動)

2018年10月30日の韓国大法院で強制動員訴訟で、被害者の請求を認めて、被告の日本企業に賠償を命じる判決を出した。安倍政権はこの判決を非難し、それ以降は日本政府・メディアが韓国への非難・批判する言動を繰り返している。日本政府の非難する根拠に「1965年の日韓請求権協定で解決済み」があるが、強制動員の問題は含まれていなかった。
「国際法違反」ともいうが、個人請求権は消滅していないし、 国際人権規約(1966年成立、1979年日本は批准)でも認められている。また、「徴用工ではない、旧朝鮮半島出身者」で募集により応募したもの、としている。これについては日本(大阪高裁)と大法院の判断でともに強制労働を認めている。

なぜ、こうなっているのか? 河野談話、村山談話にも徴用工・強制動員の反省はなかった。日本政府にも、国民の意識にも植民地主義の清算が未完であること。安倍政権が歴史修正主義へ走り、サンフランシスコ体制=日韓基本条約(1965年)体制に固執していることだ。これらが強制動員被害者の人権回復を阻んでいる。

2001年に国連の反人種主義世界会議で「ダーバン宣言」があり、植民地主義を清算する動きが世界に拡散している。植民地支配を認めて「多大の損害と苦痛を与えた」ことを表明した村山談話をさらに進めていくことが求められている。

李熙子(イ・ヒジャ)さん。

話をする李熙子(イ・ヒジャ)さん。映画『あんにょん・サヨナラ』
(107分2005年 監督 キム・テイル 共同監督 加藤久美子)の主人公でもある。父はアジア太平洋戦争中に日本軍に徴用され、中国で戦死した。日本政府から、父について何の通知もなく、彼女が父の死の詳細を知るのは90年代に入ってからのこと

■李熙子(イ・ヒジャ)さん(太平洋戦争被害者補償推進協議会) の話

法律のことはよく知らなかったが、2001年から軍人・軍属裁判の活動を続けてきました。希望があると信じてきたから大法院の判決があったと思います。その判決も反動があり苦しい一年でした。日韓関係は最悪だという人がいますが、そうは思わない。過去に目をそむけている安倍政権がそうさせていると思います。

みなさんと会って力をもらっています。大法院判決の意味を考える機会を持ちたいです。植民地支配が違法であり、個人請求権があるということ。私たちは韓国政府から支援されたことはないし自分たちの力でやってきました。日本の政府と企業は考え直さないといけない。65年に解決したことは裁判を起こした人たちとは関係しないのです。

(文責:編集部)

■参考
在韓軍人軍属裁判の要求実現を支援する会
http://www.gun-gun.jp/index.htm

映画『あんにょん・サヨナラ』hp
http://www.annyong-sayonara.jp/sayo/index.htm