【風刺画細見】「火中の栗を拾う」

新聞をとらなくなって久しい。新聞・雑誌などの定期刊行物はデジタルで読むようになり、紙を拡げて見ることが少なくなった。もともと新聞を読む習慣はなかったのだが、新聞を開くとつい読むというか目に入ってくるものに一コマ漫画がある。

もともと一コマ漫画はその時々の世相や日常、政治の出来事をひとつの絵で風刺、揶揄するようなパロディ表現で、いわば風刺画の基本でもある。たまに見る一コマ漫画は、思わずニヤリとさせられる。

風刺画は日本では動物が擬人化された鳥獣戯画が有名だが、多く描かれるようになったのは紙メディアの発達によるものだ。著名な作家にドーミエ、ビゴー、ホガースがいる。ビゴーは明治期に来日し、近代国家として誕生した日本の世相や時事を一コマ漫画で伝えていたのは有名だし、教科書などに掲載されていたので馴染みがあるだろう。

その一コマ漫画が、SNSなどで配信されてネットで見れるようになった。とくに高市の台湾有事発言以後はその発言にまつわる風刺画を散見することがあった。また、かつてのコマ漫画をあらためて今日の目で再度、確認することもある。風刺画を見直すことになったのだ。

19世紀から20世紀初頭にかけて、中央アジア、例えばアフガニスタン周辺やペルシャ(イラン)などの覇権をめぐって展開された大英帝国(イギリス)とロシア帝国による情報戦・外交戦・代理戦争をグレート・ゲームと呼ぶことがある。極東でも米英列強とロシアとの派遣争いがあった。このような帝国主義列強の争いは幾度か風刺画の題材となった。

驚くのは、昔の風刺画を見ても、古さを感じないものがある。それだけ時代状況があまり変わっていないということだろうか。また、設定が変えるだけで通じてしまうものがある。国が変わってもやっていることは変わっていないのだ。具体的に見ていこう。

「火中の栗を拾う」とのタイトルで知られている風刺画は歴史の教科書などによく掲載されている。日露戦争前の国際関係を描いたもので、中央の小さな人物は「日本」を表しており、ロシア(左)が焼いている「火中の栗」(満洲・朝鮮)を、英国(中右)と米国(右)に拾うよう促されている。作者はオランダの風刺画家ヨハン・ブラーケンシーク。

今日では絵にあるような英・米両国が揃っている状況ではないが(イラク戦争くらいまでか?)、近年、陸上自衛隊とイギリス陸軍は、日本国内(北海道や群馬県など)で共同訓練「ヴィジラント・アイルズ」を毎年実施しているし、イギリス海軍も海上自衛隊とインド太平洋地域における安全保障上の連携を強化しており、空母打撃群の派遣や呉基地への寄港、など幅広い共同作戦・訓練を実施しており、あながち時代が違うとも言い切れない。なによりも、今日においても帝国主義が理不尽な力を示していることに慄然とせざるをえないのだ。

(本田一美)

火中の栗を拾う 

火中の栗を拾う (万国風刺漫画大全 復刻集成より)
https://mirai.kinokuniya.co.jp/2020/11/20162/

これを改変したものが、現在の日本政府に当てはめたものがあった。これは現政権よりも前から進んでいた状況だが(台湾有事そのものは米軍発なのだが、高市首相の場合はもともと明確に反中なので、そそのかされていないのかも…)、今回の原稿を書くうえでXなどのSNSを調べたが見つからなかったので、記憶で再現してみた。

「火中の栗を拾う2026」

「火中の栗を拾う2026」