文化財返還は世界の潮流 歴史と文脈を知ることが大切

講演する小田原のどかさん(新華社日本版より 以下同)
6月20日(土)に14時より、シンポジウム「彫刻から見た文化財返還問題」が文京区民センター2A会議室で開催された。講演1は小田原のどか氏(彫刻・評論・芸術博士)で、五十嵐 彰氏(東京都埋蔵文化財センター)、さいとう・まの氏(東大遺骨返還プロジェクト)のコメント。
講演2は「大連市民による唐鴻臚井碑研究と返還運動」として大連から姫 巍(チー・ウェイ)氏が講演。主催は中国文化財返還運動を進める会。約80(オンライン20名)名が参加した。
小田原のどかさんの講演は「東大東文研前の石獅子像を手掛かりに」というタイトルで、社会と芸術の関わりを中心に自己紹介を含めて話がはじまった。
文化財問題や彫刻史を考えるうえで植民地帝国主義は大きな存在で、東京大学東洋文化研究所が義和団事件の賠償と関係して成立し、同所入口に両脇に設置されている一対の石獅子の出自についても見ていかなくてはならない、と語り。
また、水平社博物館での『西光万吉の表現』は彼の表現が美術史のなかで位置づけられていないこと、スイスに投資家たちが美術品を保管している「フリーポート」という倉庫があり。マネーロンダリングや武器購入に用いられる懸念されていること。さらには、現代風刺のマウリツィオ・カテランのバナナの『コメディアン』という作品や、イギリスの環境保護団体「ジャスト・ストップ・オイル」は、化石燃料の新規採掘の停止を求めて美術館での抗議活動などを紹介した。歴史や文脈を知ることが抵抗の元になると語った。
その後、五十嵐 彰氏とさいとう・まの氏のコメントが続き。そして姫 巍 氏がオンラインで講演をおこなった。大連で市民たちが日本領事館に対して「唐鴻臚井刻石(こうろせいひ)」の返還を要求したこと。(714年旅順の石碑。日露戦争時に日本軍が奪い皇居内に存在)今日では植民地時代の略奪物返還が世界の潮流となっていること。フランスでは植民地時代の文化財を返還する法律が可決したことを挙げて、日本の反応の鈍さ指摘し、積極的な対応を求めて、今後の対話の継続などいくつかの提案をおこなった。
(編集部)

文京区民センターでの集会

