海上自衛隊の広報宣伝への抗議行動 サマーフェスタで戦場準備の実態を訴えた

横断幕を掲げて抗議
兵庫県 神戸市 東灘区にある 海上自衛隊 阪神基地隊で「海上自衛隊 阪神基地隊 サマーフェスタ2026」が実施された。 基地を一般開放して、輸送艦「くにさき」「にほんばれ」の一般公開、音楽演奏、装備品展示、職種紹介などが行われた。これに対して昨今の戦争国家づくりや軍事費増大の宣伝など批判する人々の声が届いた。以下転載する。
2026年7月5日(日)、神戸市東灘区の海上自衛隊阪神戸港の軍事使用を許さない会の呼びかけによるスタンディング行動が実施された。雨天にもかかわらず、輸送艦の見学には「2時間待ち」の案内が出るほど家族連れや見学者が殺到する中、十数名の市民が会場へ向かう長蛇の列の脇に立ち、華やかなイベントの裏で進む「戦場への準備」の実態を訴えた。
「島嶼戦争の兵站拠点」への変貌
2026年3月、陸海空自衛隊共同の「自衛隊海上輸送群」隷下に第2海上輸送隊が阪神基地へ移駐した。これにより、かつて航路の安全を守る平和な拠点であった阪神基地は、南西諸島へ部隊や重装備を送り出す実戦的なロジスティクスの中枢へと作り変えられた。今回のイベントは、その変貌を「防災」「輸送」という親しみやすい言葉で覆い隠す場となっていた。
展示装備が語る「実戦」の証拠
抗議行動が特に問題視したのは、展示された装備が単なる「輸送」「防災」の枠を超えているという事実である。
輸送艦「にほんばれ」と演習実績 今回公開された輸送艦「にほんばれ」は、わずか2週間前の2026年6月23日、日米共同演習「レゾリュート・ドラゴン26」において、奄美市・名瀬港で12式地対艦誘導弾(12SSM)を搭載した車両を揚陸したばかりである。この事実は、同艦が「防災」ではなく、沖縄・南西諸島を戦場にするための軍事作戦に直結していることを何より雄弁に物語っている。
輸送艦「くにさき」とLCACの走行展示 「くにさき」から発進するLCAC(エアクッション揚陸艇)の展示も行われたが、これは敵対地域への「殴り込み」作戦、すなわち水陸両用戦を支える攻撃的機能にほかならない。子どもたちの歓声を誘う「乗り物」の裏に、こうした軍事的本質が隠されている。
組織改編が示す対米統合
2026年3月の改編では「護衛艦隊」が廃止され、有事対応に専念する「水上艦隊」が新編された。この再編は、自衛隊が米軍の太平洋戦略に完全に組み込まれつつあることの証左だと訴えられた。
軽視される自衛官の命 さらに深刻なのは、「にほんばれ」の運用の多くが、艦艇運用の経験に乏しく自衛のための重武装も持たない陸上自衛官(乗員の9割を占める)に委ねられているという実態である。これは自衛官の命を作戦上の駒として扱う無謀な計画だと厳しく批判された。
関西全域に広がる軍事拠点化ネットワーク
阪神基地の強化は、単独の出来事ではなく、関西全域で進む軍事化の一環として位置づけられる。
●特定利用空港・港湾指定:神戸空港、神戸港を軍事拠点化するための地ならしが進む。
●戦争の連鎖:京都・祝園弾薬庫の巨大化、舞鶴へのトマホーク配備、経ヶ岬のXバンドレーダー基地──これらが阪神基地と一体となり、一つの「戦争遂行システム」を形成しつつある。この構造を可視化することで、参加者は「一施設のイベント」として消費されがちなサマーフェスタが、実は広域的な軍事再編の結節点であることを訴えた。
「抑止」の先にある不都合な真実
多くの市民がサマーフェスタに詰めかける中、スタンディング行動は「中国を敵視するのではなく、対話と日中友好こそが真の安全保障である」というメッセージを一貫して発信した。「抑止のためなら軍事利用も仕方ない」という空気が広がる今だからこそ、この場所が「沖縄を戦場にするための出撃地」へと変貌しつつあるという不都合な真実を、来場者に直接突きつけたことの意義は大きい。
雨の中、行列に並ぶ家族連れの傍らで声をあげ続けた十数名の行動は、地域社会に静かだが確かな一石を投じるものとなった。
今市和昭(リブ・イン・ピース☆9+25)

行列に並ぶ家族連れの傍らで、雨の中で十数名が抗議行動をおこなった

雨の中、多くの来場者が艦艇見学に訪れた
(アソシエ・トモ2より)
