望月衣塑子記者大いに語る―菅官房長官会見の質問で見えて来るもの

望月衣塑

講演する望月衣塑子さん

3月3日、憲法講演会として望月衣塑子(いそこ)氏(東京新聞社会部記者)の「菅官房長官会見の質問で見えて来るもの――安倍政権とマス・メディア」の題する講演がカトリック幼きイエス会ニコラ・バレ修道院会議室(東京・四谷)であり参加した。主催は 宗教者九条の和。

約150人が参加した講演会では、自身の新聞記者としての歩みから、武器輸出の取材をすすめ、モリカケ問題の取材で社会部記者として忖度しない立場で、菅官房長官への執拗な質問で有名となり、いまや安倍政権の天敵とまで恐れられるようになった最近の動向まで余すことなく語った。

■望月衣塑子さんの話

最初は中日新聞に入って夜討ち朝駆けの取材をしていました。そのうち整理部に移動になり、気の迷いもあり読売新聞へ行こうかと面接も受けたこともありました。父に相談すると読売では好きなことができないのではとアドバイスを受けました。たしかに、読売ではいろんな取材や記事は難しいでしょうね。

地検特捜部、裁判所への取材、調査報道をしていました。地検特捜部が厚生労働省元局長の村木厚子さんを無実の罪に陥れた事件がありますが、これが現在の地検が与党に切り込めない理由だと思います。

そしてモリカケ問題です。東京新聞の政治部ではない社会部から出ていって菅官房長官に質問しているのですが、菅さんは特定の人にしか答えない、選定して応答している。望月を取材させるな、出入り禁止にしようという記者クラブ内の意見もありましたが、さすがにそれは通らなかったようです。

ともかく加計学園は赤字が続いており、安倍首相は経済特区の座長の地位を利用して加計学園を支援したのでしょう。加計学園は安倍首相の最大のスポンサーですから。

安倍政権になってからはメディアは委縮しています。日本は「報道の自由度ランキング」では世界の72位に転落、G7の中で最下位に当たります。

武器輸出解禁の動きがあります。「武器輸出三原則」が撤廃され政府は輸出拡大を支援するようです。三菱重工などに取材すると広報でシャットアウトされてしまい、それこそ下請けの企業まで通達が行っているようで拒否されます。そして防衛省から機密事項あると抗議されましたが、企業の担当者に聞くと「本当はやりたくない」と危機感があるようです。

首相が核兵器廃絶国際キャンペーン=ICAN=のベアトリス・フィン事務局長との面談を拒否しました。首相官邸としては軍事生産を増やしたいという意向で、軍産複合体制を進めていこうとしているのでしょう。

さらに米政府からの武器購入が急上昇しています。今年度の防衛省予算は前年度から650億円増え、5兆1900億円を突破しました。1基1500億円と言われるミサイル防衛システム「イージス・アショア」を前倒しで2基購入することも決まり、ロッキード社が開発した1発1.6億円という最新鋭の巡航ミサイル「JASSM」も今年度から導入されるといいます。

2兆数千億円と言われる日本の武器市場。2014年4月の武器輸出解禁以降、その約4分の1にあたる5000億円弱が、米政府からの武器購入に費やされています。

米国の大手軍事企業がいまも日米両政府に対して影響力を持ち、日本の防衛装備政策はその軍事企業の思惑に動かされていのではないでしょうか。

憲法9条加憲で自衛隊を明記されると、日本は戦う国に変質するでしょう。 危険なことです。

最後にガンジーの言葉を紹介します「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって、自分が変えられないようにするためである」。
(文責編集部)

会場は多くの人で埋まっていた

会場は多くの人で埋まっていた