「岸田改憲」来襲・1 ハトからタカへ「改憲」の陣立て

【連載】

2021年9月29日に第27代自由民主党総裁に就任し、10月4日に内閣総理大臣に就任した岸田文雄氏は、「軽装備・経済重視」の派閥「宏池会」の出身を利用し、「ハト派」のふりをして、「タカ派」の政治である「改憲」にしゃかりきとなっている。

2021年9月17日の自由民主党総裁選挙における立候補者の「共同記者会見」において、岸田氏は、「時代の変化に対応した改憲を進めるべきだ。自由民主党が掲げる自衛隊(の根拠規定)の明記など4項目の改憲案は、現代的な意味で重要な課題だ。総裁の任期中に4項目の改正実現を目指したい。少なくともめどはつけたい」と語った(2021年9月18日付「読売新聞(朝刊)」)。

自由民主党の4項目の改憲案とは、2017年5月3日に当時の安倍晋三内閣総理大臣が提起した改憲策に基づいて、同党の「憲法改正推進本部」が作成した改憲案で、2018年3月26日に決定され、「条文イメージ(たたき台素案)」として発表された。

4項目の改憲案の内容は、次のもので、第一は、日本国憲法「第九条」第一項と第二項をそのまま残した上で、侵略権である集団的自衛権を行使して侵略戦争のできる軍隊となった自衛隊を日本国憲法に明記しようとする「自衛隊の明記」に関する改憲案である。

第二は、「大地震その他の異常かつ大規模な災害(戦争による災害も含まれる)」が起きた時に、国民の基本的人権を制限・剥奪することができる政令を内閣が制定できるようにする、及び、衆議院と参議院の議員の任期を延長できるようにする「緊急事態対応」に関する改憲案である。

第三は、投票価値の平等を無視して、与党に有利な選挙区や選挙区の議員定数を設置できるようにする、及び、都道府県のすべてから一人以上の参議院・選挙区議員(地域代表の議員として)を選出できるようにする「合区解消・地方公共団体」に関する改憲案である。

第四は、教育を受ける機会を国民1人1人に確保するという名目で、国家が教育を統制できるようにする「教育充実」に関する改憲案である。

自由民主党と日本国内閣の最高権力者の地位に就いた岸田氏は、日本国憲法で、内閣とそれを構成する内閣総理大臣及び国務大臣には、「憲法改正権」(改憲案起草権・改憲案国会提出権・改憲発議権)が認められていなこと(第九六条第一項・第七三条)を踏まえて、自由民主党の改憲運動に比重を置く方策で、「岸田改憲」を成し遂げようとしている。

2021年11月19日、自由民主党は、岸田氏の指示で、「憲法改正推進本部」を「憲法改正実現本部」に改めた。その「憲法改正実現本部」は、2021年12月21日、総裁岸田氏の異例の出席のもと、全体会合を開き、全国各地で遊説や対話集会などを行う「憲法改正・国民運動委員会」の設置を決めた。総裁岸田氏は、会合の冒頭の挨拶で、「国会での議論と国民の理解が車の両輪だ。党の総力を挙げて結果を出すようお願いする」と発破を掛けた(2021年12月22日付「読売新聞(朝刊)」)。

更に、その「憲法改正実現本部」は、2022年2月1日、全国各地で対話集会を担当する「タスク・フォース(task force)」(特殊任務集団、約50名の議員で構成)を発足させた。発足会合で、全国を11のブロックに分けて、5月の大型連休までに全都道府県で最低1回の憲法集会を開く方針を確認した。

岸田内閣と岸田自由民主党は、7月の参議院議員選挙で、与党(自由民主党・公明党)と改憲野党(日本維新の会・国民民主党)が大勝利して、その後の3年間は国政選挙をしない『黄金の3年間』を作り、その間に「岸田改憲」を実現しようとしている。従って、参議院議員選挙は、改憲の「関ヶ原」となる。

襲い来る「岸田改憲」を跳ね返して、日本国憲法を護り、その『全面的開花』を実現するために、「岸田改憲」の問題点と私達の改憲阻止の課題等を検討したいと考えている。
(とある憲法探偵)