震災被災地と紛争地の難民を通して―写真で伝える考える

集会のはじめに沖縄などのお国言葉で日本国憲法前文と九条を読み上げた

2022年「松戸憲法記念日の集い」が5月3日(火)13時から松戸市民会館大ホールにて開催された。主催は松戸憲法記念日の集い実行委員会。この催しは2003年から毎年5月3日に松戸の70以上の市民団体によって担われていて、例年千人を超える参加者が集っているという。今回はフォトジャーナリストの安田菜津紀さんの講演で、オンラインでも配信された。

実行委員長の開会あいさつの後、松戸市長のあいさつがあり、お国言葉による日本国憲法前文、憲法9条の群読があった。その後は休憩を挟んで安田さんの講演となった。

安田さんは、写真で現在起きていることを伝えていく仕事をしている、紛争地や被災地での声を届けていると、自己紹介した。そしてスライドで写真を映しながら、主として東日本大震災で被災された人々とシリアの内戦で難民となった人々を取材してきた事例や経験を語った。

まず、福島県大熊町の木村さんのことを紹介した。木村さんは3月11日の東日本大震災で被災した。そして行方不明となった愛娘の骨を探している。木村さんの土地が原発事故の廃棄物などの貯蔵施設として決まったが、愛娘の骨があるかもしれない土地を売るつもりはない、と木村さんは語っている。

安田さんは、国がまだ骨を捜索中の遺族がいることを知らないことに愕然とし、辺野古埋立ての措置をしている今の沖縄の扱いと福島が重なって見えたという。

福島の津波の被災地で2016年には重機を入れて行方不明者と思われる人骨が見つかっている。国や行政が責任をもって探すべきだ、と語る。また、20万人が犠牲になった沖縄戦、その犠牲者たちの遺骨がまじった土で辺野古新基地が埋め立てられようとしていることを批判し、沖縄の現状は憲法が蔑ろににされていると語った。

いっぽうシリアの内戦の取材を語り、シリアの友人が語った「武力はその都度歯止めをかけなければ、そのままになってしまう」という言葉を紹介した。また、シリアの子どもが「おっきい人たちに伝えてほしい、戦争はやめてほしいんだ」と訴える声を紹介した。

シリアで取材中に、家族で平和に生きたい、子どもだけでも連れて行ってくれないか、という頼みになんと答えたらいいのか、と悩んだという。日本の現状を考えれば難しい、と答えるしかないのだが、日本政府のウクライナ難民は受け入れるが、それ以外は受け入れないという二重基準の矛盾を指摘した。

また陸前高田の仮説住宅でシリアでの取材の話をしたときに、仮説住宅の家族の方々は、シリアの難民の人たちに比べたら辛いことはない、受けた恩返しをしたい、との反応だったという。

そして、社会や政治をまともにするには市民の声を取り入れなければならないと語り、自分の仕事はそれに幾分とも付与できるものであれば良く、役割分担であり、世界の動向を伝えることが任務なのかな、と語った。

なお、この日の午後4時半から松戸西口公園で「活かせ9条松戸ネット」主催の集会とデモがあり、「ロシアはウクライナ侵略をやめろ・NATOは東方拡大をやめろ」「9条壊すな・自民党改憲4項目はいらない」「軍事費増やすな・コロナ対策にまわせ」「戦争反対・沖縄に新基地はいらない」とシュプレヒコールをおこなった。松戸西口公園から出発して駅周辺を歩き、地下道を抜けて東口へ移動し、駅前のイトーヨーカドー前交差点まで行進した。
(本田一美)

午後4時半から松戸西口公園で集会を開催しデモへ

松戸の西口から東口の駅周辺を歩き「核兵器禁止条約を批准せよ/敵基地攻撃能力はいらない/野党は共闘」などアピールした