<トランプ登場後の世界>で考える-東アジアの中の沖縄/日本

登壇して発言する講師の方々

登壇して発言する講師の方々

4月22日(土)文京区民センターで今の沖縄と日本そして、米国の影響を含めた東アジアの状況を考えるシンポジウムが開かれた。この集会は、サンフランシスコ講和条約発効から61年目の2013年4月28日を当時の安倍政権が「主権回復の日」と位置づけ、天皇・皇后を動員して記念式典を強行したことに異議を申し立てる立場から、東京と那覇で開催された連続シンポジウムに端を発し、今年で5回目になる。

集会は新垣毅(あらがきつよし)さんの基調報告の後、康宗憲(かんじょんほん)さん、丸川哲史(まるかわてつし)さんの発言があり、その後は質疑応答と安次富 浩(ヘリ基地反対協共同代表)さんのメッセージが読み上げられ、沖縄反戦地主会・関東ブロック、日韓民衆連帯ネットワーク、共謀罪反対の運動からアピールと行動提起の訴えがあった。
以下講師の発言の一部を紹介する。

新垣毅さん(琉球新報) 

沖縄から見える日本=ヤマトについて話してみたい。

トランプは国際情勢を理解しているのか?  米国と韓国と日本がどうなるのか、火の粉が舞うかもしれない、という危険な状況が再生産されるのではないか。

主権の回復・獲得というのが重要で、市民が主権を持つことが大切だと思う。

日本はサンフランシスコ講和条約で主権を回復したと同時に安保条約で日本を売り渡したのではないか。主体性を売り渡したのが日米安保の本質だと思う。米国に「跪く主体」というものが日本なのだろう。

沖縄の米軍・海兵隊の存在も重たい。殴りこみ、攻撃する部隊である。米国の報告書でもミサイルの飛ぶ時代には分散させたほうがよいという指摘がある。

海兵隊の沖縄駐留には日本政府の思惑もある。日米安保で有事の時に動かせやすい。尖閣諸島にも適用できる…。それと自衛隊の軍隊教師としての役割もある。海外で戦争できるようにしたいのだろう。

基地に反対する、日米同盟に反対するものは「反日テロリスト」呼ばわりする。そのような排外意識が沖縄に向けられている。戦前に突入したのではないか? ヘイトスピーチ規制法では沖縄人やアイヌ人は対抗できない。

沖縄の基地建設を止めること、それが自己決定権の行使であり、主権回復の第一歩だと思う。

そして歴史認識、領土問題に向き合うこと、それにより戦争を起こさせない仕組みを対話によってどう創っていくのか、解決するテーブルとして沖縄の果たす役割があるでしょう。市民運動も正念場だと思います。


康宗憲さん (アジア政治研究)

ソウルに行ってきました。韓国はこれまでの歴史のなかで戦争を起こさない感覚を育んできた。危機を回避すべきです。北のミサイル基地をピンポイントで破壊しても全面戦争になるでしょう。

米軍がミサイル攻撃すると日本の米軍基地に報復がくるでしょう。朝鮮戦争はまだ続いているというのが正確な認識なんです。休戦状態、停戦体制でいつでも戦争が再開されます。

毎年、米軍と韓国軍で最大の軍事演習をやっている状況です。北の脅威に対抗するとしているが、あきらかに威嚇の軍事演習です。

米国の軍事力・兵力は圧倒的です。北朝鮮と比較になりません。格差があります。すべての権力者は体制保持を欲して、自殺願望はありません。

北でも人間が生活している。憎悪をつくりだすことによって相手を殺すしかないと思わされる。

東アジアの非核化は北朝鮮だけでは成立しない。敵対関係を変えて対話をするよう関係を正常化するしかない。


丸川哲史さん(明治大学)

台湾と中国を研究してきました。台湾に米軍基地がないのは米国と中国の国交正常化のなかで北京政府の要請があってのことです。

戦争を起こすには相手への憎悪をつくらないといけない、かつての日本の戦争でもそうでした。今は似てきている。反復しているようです。

北朝鮮は安全保障を求めているので、圧力をかけても意味はないし米国が本気にならないと始まらない。中国は北朝鮮が防波堤として存在していることを認識している。朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に変えていくということでしょう。

中国は今は西方、中央アジア、アフリカなどに目を向けている。極東には関心が薄れているので、平和をつくる主体は誰なのかを考えていかないといけないと思います。 


(文責・本田一美)

動画は以下