沖縄・南西諸島を戦場にさせないために

9月21日 沖縄県庁前のシェルターいらない緊急集会 

9月21日 沖縄県庁前のシェルターいらない緊急集会 (You Tubeより)


進む南西諸島の軍事化

進む南西諸島の軍事化(講演レジュメより)

11月22日、東京大田区で「戦争させない1000人委員会・東京南部」の主催の「辺野古新基地反対!沖縄の民意を無視するな、沖縄・南西諸島を軍事基地化するな、戦争への道、防衛費2倍化反対!」山城博治講演会が開催された。約150人が参加し、「沖縄・南西諸島を戦場にさせない」決意を新たにした。

山城博治さんは、現在「ノーモア沖縄戦命どぅ宝(沖縄語で「ぬちどぅたから」と読み、「命こそ宝」という意味)会を結成し、共同代表を務めている。講演の要旨を紹介する。
 
冒頭、山城さんは辺野古や高江、与那国や石垣島での活動からオキナワを巡る情勢の変化について触れ、「昨年から事情が全く変化しており、一つの軍事基地建設ではなく、沖縄全体が軍事化の波に晒される事態となってきている」と述べた。普天間基地の返還に伴う辺野古新基地建設に県民が一丸となって運動を進めてきたが、ロシアや中国、北朝鮮に対し、脅威を唱える勢力が強まってきており、より強い危機感を持たなければならないと訴えた。

次に、NHKをはじめとする多くのメディアでロシア脅威論や台湾有事、北朝鮮の飛翔体発射を大々的に取り上げ、日本人に戦争行為をあおるような報道が目立っている。そして、この裏には同盟国である米国が絡んでいることを挙げ、日本政府が裏で米国に操られ間違った選択をしないで欲しい。過激化するミサイルなどの兵器開発について、「国を守るという目的が、いつしか国を攻めるもの変わっている」と、台湾と中国の戦争に沖縄が巻き込まれる沖縄有事に警鐘を鳴らした。

そして、全体を通してみる中国脅威論の実態について、「大国となった中国の成長に、米国は恐怖を感じている。しかしながら、台湾有事を煽って米中の戦争に進めようとする米国の発信はフェイクだと感じる」。本日は、その点から説明していく。

そもそも、米国は本気で中国と戦争する気はない。そのために、日本と台湾に大軍拡要求をしている。現に台湾の軍事費は日本の比ではなく2倍、3倍に膨れ上がっている。米国は台湾を武装独立国家として中国との戦争に利用するつもりである。そして、なぜ大軍拡が進むのか、中国との戦いの最前線である第一列島戦を挙げ、「この最前線の外から米国は加勢し、自国の消耗は極限まで抑え込むだろう。日本が米国の掛け声にまんまと引っかかり、多くの市民の命を失うわけにはいかない。

陸自の戦車が一般道を走行する記事

陸自の戦車が一般道を走行する(「琉球新報」2022年11月17日電子版より)

軍備増強に関しては、沖縄の現状を紹介し、最大規模の輸送機を用い、大量の自衛隊専用車両を配備する様子に触れ、「県民が反対することを承知の上でこれだけのことをやっている。こんな事は初めてでこれからの戦争に向けて、県民に軍を意識させるデモンストレーションだ」と思う。また、県道を走る車両の中で県民を驚愕させたのは、16式機動戦闘車両というキャタピラが装着されていないタイヤの戦車が走らせたことで、世界で初の自衛隊独自のものである。これは、沖縄戦という凄惨な過去を忘れきれない県民が、嫌悪感を示さないように狙ったものではないか。

また、反対活動や抗議行動に取り組む人たちのほとんどが、団塊世代と言われている。これは、戦争を経験し、生き延びた方々の子供たちであり、戦争の悲惨さを直接伝えられた世代でもある。こうした方々が、二度と悲惨な歴史を作り出さないため、日夜を問わず運動を進めていく中で、しっかりと横のつながりを作り、この運動を後世まで伝えていくことが必要である。

兵器は防衛に特化したものではなく、攻撃に特化したものが増えつつある。短距離のミサイルだけではなく、長距離の発射かつマッハ5で進む高速滑空弾など、スタンドオフミサイルという敵基地攻撃能力(反撃能力)をもった兵器の開発や配備が進んでいる。また、日本国内に多くの米軍基地を保有する米国が、いかにして損失を最小限にするのかについては、「中国の高精度ミサイルに米国はなす術もない。自国の軍事力を温存するためには、ミサイルの射程範囲での行動が絶対である」。現に対中国の米国の作戦は「遠征前方基地作戦」で、40の島々からEABO部隊という少数の海兵隊からなる部隊を組織し、補給がメインの作戦となる。必然的に、中国の攻撃の対象は、現地で展開する自衛隊の隊員である。「米国がけしかけたちゃちな戦争で、沖縄や自衛隊の若者を犠牲にするわけにはいかない」と、無責任な米国の姿勢に怒りを露わにした。

最後に「今この時も、沖縄では有事に備えるため軍拡が進んでいる。米国中心の戦争が、日本の自衛隊が主戦力となる戦争になることは何としても止めなければならない」と訴えた。現在も取り組みが継続されている辺野古新基地建設反対の運動をはじめ、すべての仲間が反戦・平和の運動に結集することを参加者全体で確認した。

質疑の中では、避難センターやシェルターの設置が叫ばれているが、150万人の沖縄県民をシェルターでは収容できない。元自衛隊幹部は「自衛隊は戦闘中に住民を守る余裕はない」と言っているが、そもそも自衛隊法に「国民を守る」任務は書かれていない。石垣市の中山市長(日本会議)は、シェルターを作れと言っているが、石垣市や宮古市の住民を全島避難させるには、飛行機450機は必要で、10日間はかかる。ミサイルは8分で到着するのに。

また、オール沖縄の一致点は「オスプレイ配備反対、辺野古新基地反対、日米地位協定改定」であり、自衛隊の配備拡大反対は入っていない。そのため、玉城県知事も自衛隊は問題にしない。戦争を避ける議論が、野党からも聞こえないのは残念だ。
(戦争させない1000人委員会東京南部・事務局)

11月10日からはじまる米日共同統合の軍事演習の記事

11月10日からはじまる米日共同統合の軍事演習の記事(「琉球新報」2022年11月9日 講演レジュメより)