国民を監視する警察を監視しなければならない


講演する小池振一郎弁護士

講演する小池振一郎弁護士(You Tubeより)


共謀罪強行採決から5年が経過した。この間に共謀罪での起訴されてない。破防法のように適用できない法律となっているのかもしれない。「6.15 強行採決から5年、共謀罪の廃止を求める市民の集い」が6月15日が文京区民センターで開かれた。
主催は「秘密保護法」廃止へ!実行委員会・共謀罪NO!実行委員会。

小池振一郎弁護士(「共謀罪コメンタール」編著者)が「共謀罪と組織的犯罪処罰法」という題で講演した。

「共謀罪と組織的犯罪処罰法」小池振一郎弁護士

共謀罪とは何なのか。「組織的犯罪処罰法」というものを改正するものだった。一条だけのものだ。テロリズム集団による重大犯罪未遂の計画というもので「テロ等準備罪」と言っていた。

これまで3度国会提出された。組織的犯罪集団という枕言葉があるが、あらゆる(200以上の犯罪)犯罪の実行を計画(実行目的)するものが適用される。

組織的犯罪集団も二人以上で計画された個人に適用され主体とされる。

共謀罪に適用される可能性を考えてみたい。労働組合で団体交渉で団交について経営側を徹底的に追求する、というビラを作成したとき、組織的監禁共謀・組織的恐喝共謀が問われ犯罪可能性ありとする、それを理由に組合事務所が捜索される。いままで現場での対応を見て犯罪かどうかと判断するのだが、計画段階でも犯罪と決めつけて捜査する可能性がある。

近代刑法は共謀するだけでは犯罪成立しないのが原則です。刑法として成立しない(器物損壊罪など)未遂・予備に共謀だけ存在するのはおかしい。法学会では矛盾や問題的が多くて法体系が壊れることが指摘されている。

日本の刑事実務は自白に依存しているがそれに共謀罪は拍車をかける。言論表現の自由が侵される、共犯者の自白や盗聴による立証が求められる。日常的に監視が行われる。密告も奨励される。

何を合意したのか立証しなければならない。共謀の事実を裏づける証拠がない以上は仲間の自白、共犯者の自白、盗聴が重要となる。また団体の目的や準備行為、記録などを積み重ねることが重要となり、日頃の活動を監視することが必要となる。すると堂々と監視するようになる。

共謀罪に密告者の自白が適用されてそれを理由に犯罪がデッチ挙げされるおそれがある。客観的証拠により自白の信用性が問われるがそれがない。共犯者の名前が秘匿される制度が導入されて、権力による謀略などのスパイの可能性があり、スパイ社会となる。

盗聴法が改正(2016年)されて、歯止めなく拡がった。それが共謀罪を使いやすくする。危険な状況だ。

戦後の団体規制法は破防法があり、組織的犯罪処罰法がでてきた。盗聴法、安保法制があり、共謀罪はこのような流れにある。世界中に軍隊を派遣しようというときに、反対者を封じるために使われるおそれがある。

共謀罪で警察が国民を監視するならば警察を監視しなければならない。独立した監督機関で監督しなければならない。EUにはあるが日本にはないのが問題である。

人権侵害は国家によるものの被害が大きくなる。日本の人権機関を国家から独立した機関として設置しなければならない。国連から要請されている。

共謀罪は存在するが、法律について国会答弁で法解釈を限定的にさせた。がんじがらめにした法解釈を活用していきたい。対応しようと共謀罪対策弁護団をつくった。共謀罪を使わせない使うなと、反対運動のたたかいで止めてる、そのせめぎあいが現在だろう。
(文責:編集部)