小倉利丸さん「サイバー戦争へ踏み込む日本―安保三文書の意味とは」

「サイバー攻撃は武力攻撃」日本が深刻なサイバー攻撃を受けた場合に、武力攻撃とみなしてアメリカと共同で対処する方針を初めて確認した。

「サイバー攻撃は武力攻撃」日本が深刻なサイバー攻撃を受けた場合に、武力攻撃とみなしてアメリカと共同で対処する方針を初めて確認した。(nhk政治マガジン 2019年4月20日)https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/16854.html

10月20日(金)13時半より衆議院第二議員会館第二会議室において、サイバー戦争と安保三文書について院内集会が開かれ、小倉利丸さん(JCA‐NET理事)が講演した。主催は共謀罪NO!実行委員会、秘密保護法廃止へ!実行委員会。

以下集会案内を一部引用する。

サイバー戦争ではなくサイバー平和を!

岸田政権は、敵基地攻撃能力の保有を掲げ、戦争する国への転換をはかっています。トマホークの導入は、まさにその第一歩ともいえます。これと一体のものとして「能動的サイバー防御」=サイバー戦争をできるよう法制度の「改正」が準備されています。これは、通信の秘密をうたう電気通信事業法、不正アクセス禁止法、自衛隊法、ウィルス作成を禁止する刑法などを改正し、憲法の保障する通信の秘密を形だけのものにし、サイバー領域において対象国への侵入を可能とするものです。

全世界で話題となっているサイバー戦争とは、簡単に言えば通信の秘密を侵害し、サイバー領域において対象国などのネットワークに侵入し、軍事、インフラ、経済などに関する情報などを収集する、ウイルスをしかけ軍事網、インフラ設備などに打撃を与える、偽情報を流すなど情報戦を繰り広げるなどを行なうことです。

(以下略 )
共謀罪No!実行委員会
https://www.kyobozaino.com/

「ロックルドシールズ2023」に参加したことを報告するIPAの頁

「ロックルドシールズ2023」に参加したことを報告するIPAの頁(IPAサイトよりhttps://www.ipa.go.jp/index.html)

防衛省、NATOのサイバー防衛演習に初正式参加を伝える記事(航空新聞社ウェブサイトより)

防衛省、NATOのサイバー防衛演習に初正式参加を伝える記事(航空新聞社ウェブサイトより)
https://www.jwing.net/news/37407

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小倉利丸さん「サイバー戦争へ踏み込む日本-安保三文書の意味とは」

新聞報道などで能動的サイバー防御という話が出てきても反戦・平和運動のなかでのとりくみは出てきてこなかったと思います。能動的サイバー防御に関連する法改正に反対する共同声明を出しています(「能動的サイバー防御と関連する法改正に反対します―サイバー戦争ではなくサイバー領域の平和を」JCA-NET)。
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/296

わからない領域で戦争なり、政府の思惑で物事を進めていくのが、この間の流れでした。今回は共同声明の内容に沿ったかたちで報告したいと思います。

能動的サイバー防御とは何なのか。安保防衛3文書、防衛白書などに関連した文書はないのだが、「未然に排除し」というのが大きなポイントだ。攻撃がないけれども、あるかもしれないものを防ぐ、敵基地攻撃=先制攻撃を容認しているように、それがサイバーという領域でも主張されている。

能動的サイバー防御は武力攻撃の有無とか関係なく、防御もサイバー領域における武力行使であり、先制攻撃を主張しております(安保防衛3文書)。

政府は具体的説明はしておりませんが、経団連の説明会で政府が説明してます。民間業者との連携強化であり通信事業者の情報活用が強調されています。

民間の業者を巻き込まなければできない、メインになるのはパソコンやスマホでやり取りをするドコモとかauが協力しないとできない。そのところが実感できないと反戦・平和の運動が関われない。

2019年に安全保障条約の解釈を変えました。サイバー領域も国家安全保障戦略のなかに入るものであるとして、サイバー領域での攻撃を防ぐものとしている。

サイバー領域は実世界での日米の軍事力のバランスが違うほどにはなっていない。
なので、日本の自衛隊がやれることはたくさんある。米軍が一方的に日本の防衛の関与するかのようなことはなく、日本が主体的になる。

サイバー攻撃を武力攻撃とみなして、日米の協調関係を見直し、必要な様々な制度を作り直していかないといけないという段階です。

最近NATOとの距離が縮まりました。日本はNATOのサイバー防衛協力センターに加盟しました。ウクライナも加盟しました。NATOのサイバー防衛演習ロックドシールズにも参加しています。あまり知られていません。SNSで防衛省がロックドシールズを視察したことが流されています。自慢しています。この訓練に民間も参加しています。電力会社のインフラを管理している会社も参加しています。

原発を壊すにはミサイルだけではなく、電力をシャットダウンすれば攻撃できます。そういう領域です。IPA (独立行政法人 情報処理推進機構)は若い人をサイバー防衛協力センター送り込んで、育成しています。

戦争に対する敷居が低くなります。ウクライナ軍のIT軍に世界中から参加している。パソコンがあれば参加できます。サイバー技術は人々が否応なく巻き込まれる戦争から、人々が勝手に参加する戦争へと戦争自体の性格を変える、と自衛隊の専門家が語っています。

政府は戦争に巻き込むためのゆるい、敷居の低い環境をつくろうとしている。鉄砲を担がなくてもいい、パソコンでいいんだという世界になっている。それはおかしいという意識がなくなる。歯止めが必要です。

自分たちのネットの使い方の倫理が求められる。議論して人の生存を脅かす道具として使ってはいけない、という立ち位置を意識的につくっていかなきゃいけなという状況になっていると思います。

(文責編集部)

講演する小倉利丸さん

講演する小倉利丸さん。共謀罪No!実行委員会サイトより