日米のおこなう南西諸島軍事化を跳ね返そう!

シンポジウム登壇者

シンポジウム登壇者、左から纐纈厚さん、清水雅彦さん、福島みずほさん、山城博治さん

2月9日、文京区民センターにて「共同テーブル」主催の連続シンポジウム「新しい戦前にさせない」の第1回目が開催され、約200名が参加した。共同テーブル代表の佐高信氏があいさつ、その後にフォークシンガーの小室等さんとこむろゆいさんのデュエットソングで会場が盛り上がった。

続いて沖縄から山城博治さん(「ノーモア沖縄戦・命どう宝の会」共同代表)の訴えがあった。

シンポジウムの「安保政策大転換にたちむかう」では、纐纈厚さん(山口大学名誉教授)は安保3文書は国家安全保障が軍事力と書いてある、軍事力の規模拡大を追求する戦前の国家総動員思想がよみがえっていると批判した。国家総動員を方向付けた戦前の帝国日本の「国防3文書」と安保3文書と同じ軍事国家の道だ、とした。さらに自衛隊に設けるという統合指令部は、戦前の大本営の再来であることに注意喚起し、そして非同盟・非武装による平和構築を訴えた。

清水雅彦さん(日本体育大学教授・憲法学)は、歴代政権が「敵基地攻撃」について1956年国会答弁では可能だと、折にふれて言及し、先制攻撃の可能性を探り続けてきたことを指摘した。また「敵基地攻撃」の内容についても、単に「敵基地」だけではなく、「相手の領域」へと拡大していること、国連憲章・憲法違反であること、また「全面攻撃」などの表現を考えなければならないと指摘した。

福島みずほさん(社民党)は、「来年度予算案には防衛予算が6兆8000億円、加えて3兆円以上の防衛力強化資金が計上されている。すでに5年待つまでもなく、軍事費は10兆円超だと、軍拡政策の実態を指摘した。

山城博治さん

熱く語る山城博治さん


山城博治さん(「ノーモア沖縄戦・命どう宝の会」共同代表)

アメリカのバイデン政権が登場してから、台湾有事、中国脅威が叫ばれて、2021年からあれよあれよと沖縄が軍事基地化されて、日本中が戦争に動員されていくというシステムが出来上がっていくと感じます。

かつてなら安保関連3文書が国会で討議されて、大論争となり国会周辺も抗議の声があがる筈です。敵基地攻撃能力の問題についても、怒りの声が上がらないのは中国脅威論のプロパガンダが浸透しているからでしょう。

私どもは日本が戦争に走るとしても、断じて沖縄を戦場にさせないという想いです。政府の「戦争が来る、参加せよ」という宣伝に抗して、「ノーモア沖縄戦・命どう宝の会」で学習してきました。

安保3文書とは新たな沖縄戦のシナリオです。沖縄・南西諸島へのミサイル基地化です。政府は南西諸島ということしか言いません。

台湾有事は米国のバイデン政権の陰謀にしか思えない。台湾有事が起きたら、米軍が来るのかといえば来ません。台湾有事が起きたら、米国は逃げて自衛隊が迎え撃つということになります。

資料では嘉手納基地は生き残れないとなっています。F15戦闘機はグアムなりアメリカへ移動させるとなっています。基地を空にして逃げ込むということでしょう。

海兵隊が沖縄に1、2万おりますが、1月の日米2プラス2では、沖縄に駐留する米海兵隊を沿岸海兵連隊1800人に再編・縮小する案も明らかにされています。

台湾有事になれば、沖縄で台湾の避難民を受け入れる案も浮上しています。米国は中国が台頭してくるのをまともに向かうともたないので、日本を使うしかないのでしょう。

中国軍には「空母キラー」という高性能ミサイルが配備されているようで、嘉手納基地の滑走路をピンポイントで破壊するそうです。それが大量にある以上は米国は沖縄に居られない。そこで、私達は闘わないけど、あなた方で頑張ってくれというのが日米の合意だろうと思うわけです。こんな馬鹿げた戦争に入っちゃならんですね。

安保条約では日本に有事が起きたら、米国が防衛すると書いてあるが、国家防衛戦略では「侵攻が生じる場合は主たる責任をもって対処し、同盟国などの支援を受けつつ、これを阻止・排除できるように防衛力を強化する。」と明記されている。日本が戦うということです。

共同通信記者の石井暁さんは「米軍が主導の台湾有事が起きたら、15年の安保法制により日本政府は存立危機事態と認定して自衛隊が参戦していく、自動参戦システムができあがっている」と言います。

今の米国の戦略は自国本位です。アジア人同士で叩け、他国同士で疲弊させて米国は未来永劫安泰である、というドグマ、戦略に呑まれるわけにはいかない。
(文責編集部)

会場は多くの参加者たちで埋まった

会場は多くの参加者たちで埋まった