総選挙の結果を受けて9条改憲にどうたちむかうのか

市民連合HPより
https://shiminrengo.com/archives/4638

マスコミでは総選挙の争点や課題について積極的には報道しなかった。いっぽう選挙結果については、「野党共闘」の失敗、否定の大合唱だ。これにはなんとか共闘を壊したい、抑制したいという政権・体制側の思惑が反映しているように思える。

11月20日に市川教育会館で高田健さん(総がかり行動共同代表)を迎えて講演会が開かれた。主催は市川敎育9条の会で、約80名が参加した。

■高田健さん「総選挙の結果を受けて9条改憲にどうたちむかうのか」

●「野党共闘つぶし」と「改憲」の強風が吹いている

総選挙の結果は岸田与党の勝利で野党共闘の敗北となったが、自民党の甘利幹事長が辞任し、立憲民主党の枝野執行部の交代と代表戦となった。マスコミは選挙中から「野党共闘」は否定的で結果として明確になった後はさらに攻撃が激化した。

市民連合は4野党は6本20項目の政策合意し、小選挙区289、比例区176、全465で実現し、野党候補者1本化は214選挙区となった。1本化候補は、前回勝てなかった24小選挙区を含む62選挙区で勝利し、32の小選挙区で1万票以内に迫る接戦だった。野党は小選挙区で100以上になる可能性もあった。共闘しなければもっと後退した可能性もあった。

●なぜ自民党・改憲派は勝ったのか

菅政権の支持率急落により、菅首相の辞任と自民党総裁選のイベントでメディアをジャックし、「ご祝儀相場」狙いと野党の準備が間に合わないうちに奇襲攻撃的な総選挙となった。テレビのワイドショー自体は総選挙報道が40%減少し、岸田政権の政策議論がなしに、有権者に選択させた。

野党と市民運動の成果として政策合意(市民連合と4党)ができたことは評価したい。政策の方向性は正しかったが、政策と政党、候補者の中身を有権者のつたえきれなかった。それは政策合意・一本化の共闘体制をつくることに時間がかかりすぎた。立憲民主党は連合を気にして政策合意を遅らせたかった。自公は一本化していて、野党は複数立っている状況があり、中央ではなかなか決定できず遅れてしまった。地方では市民がすすめてしまう例もあった。

一本化といっても質や内容も選挙区によって違う。共闘や団結の中身を高める必要がある。相互に違いを克服し、政策・課題の実現のために経年を積むことも大事だろう。

維新の躍進については、3つの選択肢があると真ん中が選択される可能性があり、与党の批判を中間でせき止める役割を果たした。関西での地盤をつくっていて全国政党化を追求するだろう。ある意味でアベ・スガ路線の補完であり、自民党よりも野党を叩いている。

選挙で政権交代をいいすぎて、有権者もそう受け取り、それがマイナスに作用したという反省もある。今回の選挙民は現状維持・安定多数を望んだ。政治は変わらないとも思っているようだ。

●岸田政権による改憲の動きと情勢

自民党総裁選で「安倍改憲案」を全候補が継承していた。岸田は宏池会出身で宏池会はハト派の伝統だった。総理大臣の椅子が欲しくて身売りをした。岸田は憲法改正に意欲を示している。維新・国民民主党と連携して憲法調査会を毎週開催しようとしている。

維新の会の松井一郎代表は国民投票と参院選の投票を同じ日にすべき、と発言した。現実としては難しいだろうが、意識の盛り上げを狙っているのだろう。九条ではなく維新や国民民主が同意できるような、四党が一致するところから改憲を始める可能性もある。

自衛隊は軍事力を強化し、米軍のみならず外国との軍事協力体制に参加している。日本はどうするべきか、日本は軍事対決ではなく、平和的解決という選択が必要だ。世界第3位の軍事力予算となり危険だ。メディアも報道しない。

●市民連合と野党のとりくみに総括の声を、そして大きな連帯を

来年の参議院選挙に向けて、たたかいをつくっていく必要がある。もう一度政策合意をつくって野党共闘体制を準備したい。私達の幅を広げたい。こういう運動は最初は幅広く声をかけていくが、次第に固まってしまう。ドアをノックしてもらいたい。来年に向けて脱皮したい。今は女性や環境や子どもなどの問題をやっている人たちがたくさんいる。そのような方々へ一緒にやろうとに声をかけて大きくしていきたい。率直に市民連合に意見を寄せてほしい。

(文責:編集部)

市民連合からの要望を受け取る4野党の代表(社民党HPより)

市民連合からの要望を受け取る4野党の代表(社民党HPより)

総選挙後 新局面 九条の会声明(2021年11月12日)
http://www.9-jo.jp/SUB-TOP.html