インボイスは弱者を狙った増税だ!10月導入反対を国会前で訴える

発言する鳶職労働者

発言する鳶職労働者

インボイス制度を考えるフリーランスの会(通称「STOP!インボイス」)が呼びかけて6月14日の午後6時から、国会正門前(約1500人・主催者発表)と全国約20カ所(約1000人・同)で、「増税もう無理 STOP!インボイス全国一揆」と題した行動を開催した。

政府は10月導入を既定路線とするなか、アニメ産業のフリーランスや声優、映画業界、軽貨物の運転手、ウーバーイーツ配達員や建設業界、弁護士、税理士など多彩な業界の個人事業主の人たちが、インボイス制度の導入の延期・中止を求めて声を上げた。

国会前に集まった人々はインボイス制度の危険性や不安を口々に訴えた。建設工の人は「物価高のなかで価格転嫁できず、つぶれていく仲間が多くいる。建設業界に多くいる一人親方は、インボイス制度が始まると、年収400万円、500万円の人たちも消費税をとられるようになり、約1カ月分の収入を納税しなければならなくなる。発注元が下の人たち(一人親方など)の税金をかぶるか、下の人たちがインボイス登録をして税金をかぶるか、どちらにしても増税になる。こんな悪い制度は廃止すべきだ」と発言。

「STOP!インボイス」発起人の小泉なつみ氏(フリーライター)は、全国一揆に予想をこえる人が参加したことにふれ、「電子署名は20万5000筆集まっている。インボイスを追及する超党派議連ができ、90人の国会議員が名前を連ね、今夜20人近くが参加してくださった。すべて500日前にはなかったことだ」と、これまでの運動の成果を語った。

日本全国各地で一揆を計画した個人・有志がおり、運動はひろがっている。「この活動は呼びかける人がいて、それに応えてくれる人がいて、その積み重ねで500日やってきた。応えてくれた方が今回は逆に呼びかける側になってアクションを起こして下さったのではないかと思う。10月に制度が始まろうとしているが、政治とメディアに声を届けられるのは、やはり私たちしかいない」とのべ、一人一人の行動の積み重ねでインボイスを止めることの確信を語った。そして、署名100万筆、「お手紙リレー大作戦」で地方議会での意見書の採択をめざしていくことを呼びかけた。

●弱者を狙い撃ちするインボイス制度

インボイス制度とは、一定の要件を満たした適格請求書(インボイス)を売り手が買い手に発行し、双方が適格請求書を保存することで、消費税の仕入税額控除を適用するもの。この適格請求書を発行できるのは、適格請求書発行事業者で、そのためには登録姿勢が必要となる。

平成28年度の財務省の調査(出典:財務省|平成28年度 与党税制改正大綱 参考資料②-2)では、国内823万の事業者のうち、53%にあたる435万が個人の免税事業者、9%の77万が法人の免税事業者だという。インボイス制度は業種にかかわらず、事業主に大きな影響がある。つまり6割の消費税免税業者に影響があるのだ。

インボイス制度導入されると、仕入税額控除が適用となるのは適格請求書が発行された取引のみとなる。つまり、適格請求書を発行できない免税事業者との取引では、課税事業者は仕入税額控除の適用ができなる。課税事業者と取引している免税事業者は、取引が減ったり、消費税分を値引きするよう要求されたり、報酬が減ってしまう可能性がある。また、そもそも取引をしないということにもなるだろう。

それを避けるために適格請求書発行事業者となり、登録すると、確定申告時に消費税の納税義務が発生する。さらにいえば、免税事業者が課税事業者になると以下の負担が増える。

・消費税の納税義務を負う

・消費税の計算の手間・コストがかかる

・インボイス発行の手間・コストがかかる

免税事業者の多くを占めるのは零細の個人事業主・フリーランスだが、インボイス制度はそれらの人々を狙い撃ちする、まさに弱い者いじめの税制度なのだ。

(編集部)

この日は参議院会館の前で与党のLGBT法案に対する反対行動もとりくまれた

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