関東大震災100年。朝鮮人・中国人虐殺の追悼と責任を問う
関東大震災から今年100年となる。そして、震災直後に関東各地で起きた朝鮮人や中国人虐殺を追悼する大きな集会が開かれる予定だ。おおくの運動家や市民団体が賛同しとりくみをすすめている。その記者会見が5月11日に東京都内で開かれた。
はじめに実行委員会事務局長の司会の藤田高景氏があいさつをした。流言によって多くの朝鮮人・中国人、日本の社会主義なども殺された。日本の政府は虐殺を殺されたことを認めていない。こんな理不尽なことはない。国際社会では通用しない。事実を認めて謝罪し、世界とともに新しい道を切り開きたい、と話した。
そして共同代表と役員・参加者の紹介と発言があった。
田中宏さん(一橋大学名誉教授・共同代表) G7の首脳にどうゆう問題なのか知ってほしい、100年前に何が起きて今どうゆうことになっているのか知ってほしい、と書簡を書いた。
岡本博さん(前岩波書店社長) 1946年に月刊誌「世界」ができて戦争の問題などを採り上げてきた。歴史認識は後戻りしているように思う。事実関係があきらかになっている、自分たちの正義を取り戻す意味があるのではと思う。日韓の未来志向が言われているが、これまでどんなことをしきたのか知らずして語れない。
池田香代子さん(翻訳家) ケストナーの生まれたドレスデンを調べている。ドレスデンでは大空襲を受けた。ドイツのガウク大統領は連合国が集まった場で辛くても過去の事実を認め合おうと言った。ドイツの高校ロビーにゲルニカのレプリカがあった。日本の高校に重慶爆撃の写真があるようなものだ。民間や地方自治体が交流をする時ではないか。
前田朗さん(東京造形大学名誉教授) コリアンジェノサイド、あるいはチャイニーズジェノサイド。ジェノサイドの視点をもう少し広めたい。朝鮮半島の植民地過程でいつくかの日本軍の行為がジェノサイドであった。日本列島でジェノサイドが起きた。日本の文化統治や文化財略奪もジェノサイドであり、歴史の否定しようというのも犯罪である。
安田浩一さん(ジャーナリスト) 地震があると外国人の犯罪を示唆するデマが流れている。今の社会はかつてのデマがリニューアルを重ね続いている。入管法の改悪が行われようとしている。この国・社会で生きていきたいという声をつぶそうとしている。これは差別と偏見が今も続いて、それが続いた社会だ。虐殺がなかったことにしている。社会や行政の動きに抗うことをしなければならない。
山本すみ子さん(関東大震災時朝鮮人虐殺の事実を知り追悼する神奈川実行委員会) 横浜は虐殺がなかったことにしている。この10年の間に軍隊が虐殺した資料が出てきた。証言を拾って事実を追求してきた。ヘイトクライム・ヘイトスピーチの問題が今ある。事実をあきらかにしていって行政や国家の責任を問うていきたい。
林伯耀さん(旅日華僑中日交流促進会) 私は在日中国人2世です。私の父は100年前東京で行商していた。そこで震災にあい自警団の動きに恐怖して警視庁に行って外国人を保護する義務があるといって要請し、事務所に逃げこみました。「暴支膺懲」という言葉があった。中国を懲らしめるという意識がふたたび起きている。そういう風潮がある。
宮川泰彦さん(日朝協会) 1963年に関東大震災の調査をした。朝鮮人虐殺を自分たちで調べ多くの人から証言を得た。1973年に震災50年に追悼実行委員会が設けられた。追悼実行委員会は当時の自民党から共産党まで参加していた。東京都は追悼文にいろいろ注文をつけた。今は東京都のトップから否定する意向がでてきている。虐殺の事実を忘れてはならない、伝えていくことが責務だと思う。
渡辺健樹さん(日韓ネット) 日本のかつての植民地支配に対する未清算というものが今日まで引き継がれている。岸田政権の危険な大軍拡の動きも一連の流れのなかで指示する動きがかもしだされている。韓国の徴用工問題でも、米日韓の軍事協力を強化することを目的として、日本がなんの賠償もやらないでいいという解決策がでて、韓国では世論が二分化されているが、日本ではどうでしょうか。6割以上が支持しているのが問題でしょう。危険な状況だと思います。共同のとりくみで一歩でも二歩でも打ち返していきたいと考えています。
その後は新聞記者からの質疑応答、朝鮮人虐殺の記録映画を製作をした監督からも発言があり「遺族のいない朝鮮人虐殺の慰霊式に違和感があった。韓国に行って犠牲者や遺族に会った。100年で終わりにしないで、遺族調査をはじめてほしい」と語った。
全体のスケジュールとしてはまず8月31日、「関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会」を、東京都文京区春日の文京シビックホールで午後6時半から開く。約1800人収容の大ホールを会場にし、特別報告や追悼演奏のほか、朝鮮半島と中国から来日する犠牲者遺族の思いを聞くという。
追悼大会に続き、9月2日に東京・永田町の国会正門前で午後7時から「国会前キャンドル集会」を開く。3日午後5時半からは、国内外の研究者や弁護士らによる「国際交流シンポジウム」を、在日大韓基督教会川崎教会(川崎市川崎区桜本)で開く。
(編集部)