関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年追悼。多彩なとりくみと集会
関東大震災における朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会が8月31日、文京シビックホールで開かれた。韓国・中国から遺族が来日し、虐殺の調査や真相解明と日本政府の責任を求めた。主催は大会実行委員会。
はじめに実行委員会を代表して田中宏さん(一橋大学名誉教授)は朝鮮人留学生の当時の新聞寄稿文を紹介して、日本が朝鮮人を殺して国家として成立したが、正義と人道に目覚めた日本人がいるとに光明を認めたという、今そのことに応えようと話した。
慎民子さん(一般社団法人ほうせんか 理事)は事件を知って、殺される恐怖に震えた記憶があり、その後ほうせんかで話をできる場に出会った、「殺す」と「殺される」ことの恐怖を終わらせなければならないと語った。
林伯耀さん(関東大震災中国人受難者を追悼する会)は現在の日本はかつての「暴支膺懲」を反復するものであり、100年前のジェノサイドが起きた社会情況が再現されかねない、人間の尊厳の回復のために共生社会を実現しようと呼び掛けた。
周江法さん(温州遺族聯誼会会長)は中国浙江省温州出身の祖父など同郷の18人が9月殺害された。私達の村以外でも殺され、それが伝わると全ての村人が悲しみと怒りであふれ、涙の雨があふれたと話した。
権在益さん(権在益遺族会代表)は祖父が出稼ぎにいって自警団に虐殺されたと聞いているが、詳しい話はほとんどわからない。釜山で遺族会を結成した。日本政府は真相解明と謝罪、遺族への賠償を実現し、韓国政府は被害者とその遺族への正当な権利回復のために日本政府に強力な交渉をするように訴えた。
専修大学教授の田中正敬さん、ノンフィクションライターの安田浩一さん、ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワークの崔江以子さん、9・1関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典実行委員会の宮川泰彦さんが報告。千葉、東京、神奈川などから市民たちが実態を掘り起こし、歴史の事実に向き合う活動が紹介された。
この集会の後も、さまざまなとりくみと集会がおこなわれていく。
9月1日に都立横網町公園(墨田区)で関東大震災朝鮮人犠牲者の追悼碑前で追悼式典が午前中に開かれた。午後には過去に集会の発言がヘイトスピーチ発言と認定された「そよ風」という団体が、追悼碑前で集会しようとすると、集会に反対する人々から「帰れ」とのシュプレヒコールがあがり、ヘイトの集会が粉砕された。
また、東京都庁前では夕方から、東京都人権部により朝鮮人虐殺は認められないとして、飯山由貴(アーティスト)の映像作品が上映不可となったことに抗議するリレートークとダイイン、そして周辺へのデモ行進をおこなわれた。
2日には午後に荒川河川敷の木津川橋下周辺で社団法人ほうせんかなどによる「関東大震災 韓国・朝鮮人犠牲者追悼式」が開催されて、若者たちによる証言の朗読がおこなわれた。また、韓国の伝統芸能「農楽」が披露され参加者たちも追悼のため踊りの環に加わった。
朝鮮人虐殺、若者らが独自の追悼式-「100年で終わりではない」(毎日新聞デジタル 2023.9.2)https://mainichi.jp/articles/20230902/k00/00m/040/223000c
夜からは国会前でキャンドル行動がおこなわれ、参加者は日本国家の責任を追求した。
9月3日には船橋市営馬込霊園の慰霊碑前で関東大震災100周年朝鮮人犠牲者追悼式がおこなわれて地域住民、在日朝鮮・韓国人らが参列し、慰霊碑の前で焼香をあげた。千葉では船橋市や習志野市、市川市、八千代市、浦安市の地域一帯で政府・軍・警察・民衆によって約300人の朝鮮人が虐殺されたという。
ここでは紹介できないが埼玉や神奈川などさまざまな地域で追悼行事が開かれた。また中国人犠牲者の追悼式もおこなわれた。
(編集部)