斎藤美奈子さん講演「日本の人権が問われている」学校に自由と人権を!  

主催者あいさつと各訴訟原告団の紹介

主催者あいさつと各訴訟原告団の紹介


憲法を変えさせない!誰も戦場に送らせない!「日の丸・君が代」強制反対!10・23通達撤回をスローガンに、「学校に自由と人権を!10・22集会」が10月22日午後1時半から、日比谷図書館文化館地下大ホール(日比谷公園内)で開かれた。
主催は「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会などで構成する実行委員会。

実行委員会のあいさつと各訴訟団の紹介があり、メインの文芸評論家の斎藤美奈子さんの講演、休憩を挟んで川口真由美さんの熱のこもった歌と演奏が続いた。その後は東京の「君が代」裁判五次訴訟原告団と国際人権プロジェクトチームからの報告、最後に集会アピールを採択した。

講演する斎藤美奈子さん

講演する斎藤美奈子さん

■斎藤美奈子さん

どういう状況になるか分からないので、以前出したことのある本のタイトルを使って「それってどうなの主義でいこう」にしようと考えていました。

・ジャニーズの性加害問題
・都知事が関東大震災時の朝鮮人虐殺の追悼文を今年もおくらない
・岸田内閣の女性閣僚がゼロということ

ジャニーズ問題は67年9月の雑誌「女性自身」の記事や北公次の『光GENJIへ』で明かされていました。その後も99年に「週刊文春」のキャンペーンで、裁判で事実認定がされたのです。2023年にBBCの放送で健在化しました。

結果として企業は迅速に対応しましたが、テレビはのらりくらりの印象です。今の企業の人権意識は変わっています。ビジネスにおける人権に関する指導が2011年に国連人権理事会で報告されています。

・国家の人権保護義務
・企業の人権保護義務
・人権被害者の救済

これらが人権問題への対応になりますが、今は企業が「人権デューデリジェンス」という概念で、人権リスクを回避するとりくみがあります。

国際人権作業部会は日本の企業も調査しました。女性、LGBTQ、障害者、先住民族、労働問題、性虐待事件などが入るものです。

今日の世界は#MeeToo運動やカトリック教の性加害問題などの追求など人権意識が進化しています。

2017年に都知事となった小池百合子は関東大震災100年に当たる今年も横網町公園での朝鮮人虐殺犠牲者追悼式典への追悼文を送付しませんでした。知事の判断にあるのは90年代なかばから進行した、歴史修正主義にあるといえるでしょう。

1996年に「新しい歴史教科書をつくる会(つくる会)」が発足し、2006年には安倍政権(第一次)が発足、教育基本法の改定、在特会も発足し、ヘイトスピーチの嵐が吹き荒れるようになったことも差別と人権侵害の観点で見過ごせません。とくに差別を助長するのに政府などが加担しているのは問題です。

岸田内閣は9月13日に内閣を改造し、5人の女性大臣を起用しました。しかし、副大臣・政務次官では54人全員が男性で女性はゼロです。

6月14日に発表されたジェンダーギャップ指数は日本が125位と過去最低です。低迷している理由は政治参加の遅れです。各国はポジティブ・アクション(差別を解消する政策)によって、積極的に女性の議員を増やす努力をしてきました。特に中南米やアフリカの躍進はめざましく。女性議員や大臣が半数を占める国も少なくありません。

女性の政治参加が遅れた日本は他の面でもジェンダー平等後進国です。選択的夫婦別姓法廃案が96年でしたが、その後は日本会議や統一教会との連携で自民党がジェンダー政策を阻止してきました。

3つの問題は、政治の劣化とメディアの萎縮・忖度です。これにより人権が軽視されてきました。
メディア・学校教育には人権研修が必要です。メディアには差別表現の基準がありません。学校では道徳と社会で人権を教えていますが、そこにあるのは人への優しさや思いやりの強調です。それでは差別などは解決しません。国家には人権を保護する義務があるのです。人権後進国では外圧で解決するしかないのでしょうか。せめて「それってどうなの…」という意識で内部告発をして、私たち一人ひとりが変えてゆくことを考えたいと思います。

(文責編集部)

東京の「君が代」裁判五次訴訟原告団を紹介した

東京の「君が代」裁判五次訴訟原告団を紹介した

被処分者の会
https://www7a.biglobe.ne.jp/~hishobunshanokai/

ビジネスと人権に関する指導原則
https://www.unic.or.jp/texts_audiovisual/resolutions_reports/hr_council/ga_regular_session/3404/
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