沖縄を再び戦さ場にするな! 沖縄・南西諸島からの訴え

シンポジスト、左から佐高信さん、明真南斗さん、山城博治さん、下地茜さん、岡﨑ひろみさん

シンポジスト、左から佐高信さん、明真南斗さん、山城博治さん、下地茜さん、岡﨑ひろみさん


山城博治さん

山城博治さん


「新しい戦前にさせない」連続シンポ第7回/沖縄を再び戦さ場にするな! 沖縄・南西諸島からの訴え

「共同テーブル通信」(2023年11月1日)7号が発行された。事務局のご厚意で通信から「新しい戦前にさせない」連続シンポ第7回の内容を転載します。
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10月17日の夜、東京・文京区民センターで「沖縄を再び戦さ場にするな!」をテーマに、「共同テーブル」第7回シンポジウムが開かれ、250名が会場を埋めた。

「共同テーブル」発起人・竹信三惠子さんの司会で開会。発起人の佐高信さんが主催者挨拶のあと、山城博治さんが登壇。「座り込めここへ(辺野古バージョン)」を気合い高く歌った後熱弁をふるった。(文責は事務局)

山城博治(「沖縄をふたたび戦場にさせない県民の会」事務局長)報告
10 月4 日最高裁の不当判断は私たちの訴えには一言も応えていない。これを認めず頑張ろうと県政に必死で働きかけてきた。「判決に従わない違法集団を一掃しろ」という攻撃に抗した玉城デニー知事の決断は立派だ。辺野古建設阻止への応援を強くお願いする。

自民党は中国が攻めて来ると「台湾有事」を煽り、43 兆円もつぎこんで軍拡し、毎日のように南西諸島に武器が運び込まれ基地がつくられている。中国が攻めるといったことはない。「安保3 文書」は沖縄を戦場とする対中戦争のシナリオだ。軍用機用に石垣島、宮古島の空港整備が進み、港湾整備やシェルター設置を自治体首長が要求するが、それは政府から言わされている。シェルターや避難訓練は戦争は止められないという気分をつくる。反対すると、「あの連中はシェルターに入れるな」「避難時に飛行機、船に乗せるな」等々と攻撃される。

全県民が団結して沖縄を戦場にする動きを止めようと、昨年1月に「命どう宝、ノーモア沖縄戦」を発足させ「台湾有事」論の正体を明かにし、今年7 月に「沖縄をふたたび戦場にさせない県民の会」を70 団体で立ち上げた。11 月23 日には沖縄で大集会を開く。そのチラシには「争うよりも愛したい」とあるが何のことかわからないでしょう。「県民の会」立ち上げに向けた会議で、若者から「闘う」ばかりのスローガンはだめだと言われ、「争うより愛したい」というのを加えてくれと提案あった。「宗教団体か」とこれにはびっくりした。若者たちから「先輩たちに敬意は表するがついて行けない」と言われ唖然としたが、私も含め70 歳代の後がない運動は変わらないといけない。世代の差はうまってきている。デモでは若い人がいろんなメッセージをボードに掲げた。11 月の大集会の宣伝は若者にまかせる。驚く人もいるだろうが避けず乗り越えたい。

「県民の会」と「オール沖縄」との関係を聞かれる。「オール沖縄」は辺野古建設反対の一点で活動し大きな役割を果たしているが、戦争反対、自衛隊配備反対で一致してきたのではない。11 月23 日の大集会をきっかけに「沖縄を戦場にさせない」と一致点がひろがれば「オール沖縄」と合流できる。そして県政が主導して政府と対決してほしい。日本軍が沖縄の民間人を防波堤としたことを忘れない。同じことは絶対にさせない。

下地茜(宮古島市議会議員)報告

私の家から100 歩ほどのところにミサイル配備基地が建設されることになって人生が変わった。防衛省にミサイルはどこから撃つのかと聞いたら「移動しながら撃つ」と回答。GPS で撃った場所がすぐわかりそこに反撃されるので移動するという。宮古島は車で3時間で一周できるので、何台ものミサイルが走りまわったら「軍民分離」などなくなる。シュミレーションを出せと防衛省に求めたが出さない。

自衛隊の「主たる任務」は国防で、それに支障の生じない範囲で「国民保護」をする。「軍民混在」では大変なことになる。自治体は石垣島、宮古島などの空港と港湾の整備を求めるが「有事」には自衛隊が使用するので攻撃目標になる。中国からの攻撃を抑止するためにミサイル配置をすると言われるが、ミサイルを置かなければ攻撃もされない。このままでは島民は島を出ていくしかなくなる。行政は、いかにして町民と自衛隊を入れ替えるかを考えている。町の説明を聞いていると、島外への避難はリュック一つで、ペットは連れてけない。田畑や家屋が損害受けた場合の補償については説明はない。行政には「有事」に島に住民が残るという選択肢は準備していないようだ。報道でイスラエルがガザ地区南部から24時間以内に退避を命令しているのを見ると、私たちにも同じことが始まると思う。

下地茜さん

下地茜さん(写真はすべてYou Tubeより)


パネルデスカッション
(佐高信さんをコーディネーターに4人のパネリストで1時間のディスカッション)

明真南斗●(琉球新報東京支社)
3 月に駐日米国大使に「沖縄の負担についてどう思うか」と質問したら「負担ではなく自由で開かれたインド・太平洋のための責任だ」と衝撃的な返事。この発言は琉球新報は報じたが大手メディアはどこも報じない。沖縄に負担が行くのはやむを得ないという雰囲気がおそろしい。

岡﨑ひろみ●(新社会党委員長、社民党・市民共同)
社民党と新社会党で危ない動きを止めるため共同で地域で声をあげる。両党で5月3日に「非武装」の共同宣言を出した。若者の「戦うよりも愛しなさい」は「非武装」そのものだ。戦時中の教員の方から、「戦」「闘」の文字を見ると鳥肌が立つ。「たたかう」とひらがなでかく。しかし真理と正義から目をそむけないたたかいを忘れないと聞かされた。何も知らされずにここまで来た。沖縄の今を知ることが大事。

佐高信●私も山城さんも非国民のレッテルはられてる。だが武力によらず平和をつくりだしたのは中村哲さんだ。彼を1 万円札の顔にしたらいい!。下地さんの話で自衛隊は島民を守らない。自衛隊幹部だった栗栖が「自衛隊が国民の命を守ると誤解されるが、守るのは国だ」と書いている。

下地茜●市議会で自衛隊は本当に島民を守るのかと質問しても、市はハッキリ答えない。避難しかなくなるが避難もむつかしい。

明真南斗●「国民保護」を最近強調されるが前は「保護は自治体・警察の所管」とされてた。港湾・空港の整備は防衛省への協力が条件だから民間施設でなくなり、攻撃の対象とされる。

佐高●沖縄の保守層はどう考えているのか?

山城●沖縄戦を体験しているから高齢者は軍が護るとは思っていない。ただ運動は辺野古一本できたから、自衛隊による島々の軍事基地化への反対には時間がかかる。米軍は逃げて自衛隊が戦う。嘉手納は中国の攻撃で危ないから、米軍はグアムから飛来する。南西諸島の米軍もミサイルを撃ったらオスプレイで島々を逃げ回る。島民は逃げ場がない。右翼は中国が攻めてきたら逃げるのかというが、逃げるのは米軍だ。

佐高●鳩山、菅の二人に「米国から圧力はあったか」と聞いたら「いや、外務省が米国だ」といっていた。

明●防衛省のある研究者は「半年から一年持久戦で持ちこたえたら米国がかけつける」と想定している。

下地●米国の研究所のシュミレーションでは、台湾有事で日本がまず中国と戦う想定もしている。シェルターや空港整備などがすごい勢いで進んでいる。憲法に「緊急事態条項」が入ると米国にかかわりなく日本が戦争するのではと心配だ。

佐高●統一教会はこういう動きとどう関係してるか?

岡﨑●戦争中は国民動員のために家族は家長に天皇に従えとされた。戦後家制度は残された。それが新自由主義の下で「自助・共助」の名のもとに家庭責任・自己責任へ。統一教会は「女性は家をまもれ」という思想を支えている。

山城●(若者がデザインした11.23 県民集会のチラシにある魚・ミーバイの説明)
シンポの最後は立ち上がって「ウイ・シャル・オーバーカム」を会場とともに歌った。

■沖縄選出国会議員から連帯挨拶、伊波洋一、新垣邦男、赤嶺政賢の各議員からメッセージをいただいた。代表して高良鉄美参院議員から挨拶。

■高良鉄美参院議員
復帰50 年の記念すべき年に何で安保三文書か。辺野古問題での最高裁判決は、自治体の権限を無視。玉城デニー知事のどこが違法か!主権在民ではなく主権在米ではないか。戦争防止でがんばろう。参加していた福島みずほ参院議員からも、「沖縄だけでなく全国どこも戦場になりかねない。

■玉城デニー知事からのメッセージ
前田朗(共同テーブル発起人)が読み上げた。要旨安保三文書に沖縄県民は不安を感じている。沖縄では日米共同の軍事訓練が繰り返され、先島では住民避難が検討されている。命どう宝を未来につなげ、違いを認め合いあらゆる国とつながっていきましょう。

●三つの報告
横浜ノースドックについて・星野潔(リムピース)
横浜港の真ん中に米軍基地があり、日米の協議で米軍揚陸艇が配備された。当初は「置くだけだ」といってたが、琉球弧に米海兵隊を展開する輸送手段となる。陸自の戦車も乗せる。出撃拠点として使わせない運動をしている。

沖縄反戦一坪地主会関東ブロック・平良愛香
「沖縄は大変ね」といわれます。しかし、まず「どれくらい大変か分ってるの?」、次に「何でこんなに大変だかわかってるの?」、最後に「日本も大変だけど分ってる?」と思います。代執行はすべての自治体の危機です。痛みを共有してがんばりましょう。

土地規制法問題について・大束愛子(東京北・練馬・板橋)
基地などの周囲1 ㎞圏内の住民がプライバシー含めて監視される。東京では4 か所が指定された。国に説明会開催を求めたが拒否された。関連する区の市民で共同で調査し、フィールドワークもして情報公開求め、区議会に陳情を出した。

●まとめ 纐纈厚(山口大学名誉教授 共同テーブル発起人)
皆さんの報告から沖縄は米本土防衛の楯にされることが明確になった。米国のシンクタンクは、「南西諸島にミサイルを配備するのは中国のミサイルを吸収するためだ」「島々にバラバラに配備すれば中国もターゲットをしぼりこみにくい」と述べている。米国のナイ報告は「本土を攻撃されたら日本人は逆上して中国と戦う」と公言した。世界の人命・安全を守るのが安全保障で、それは武器では実現できない。「抑止力」論は神話だ。核をもっていても戦争は止められないのが現実だ。

共同テーブル https://www.kyodotable.com/