国立西洋美術館でパレスチナ人虐殺反対・抗議行動
東京上野の国立西洋美術館で川崎重工に対する抗議行動・パフォーマンスがあった。2024年3月11日、「国立西洋美術館」で開催された「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」の内覧会で、パレスチナでのイスラエル政府による「ジェノサイド」に反対の意を示す抗議活動が実行された。
また、午後から館内ロビーでは、アーティストの遠藤麻衣と百瀬文が川崎重工に対する抗議パフォーマンスを行った。
以下はtokyoartbeatなどのメディアで報道されたものをまとめたものだ。タイムアウトの記事では公安警察が介入して排除されたとされている。美術館側としては警察を呼んだことはないと説明しているようだ、だとすると何故、すぐに警察が来たのか釈然としない。通常は警備員が常駐シているはずで、当然ながらその警備員が対応するのが自然だ。それが警察介入するというのは一線を踏み越えた事態なのではないだろうか。
国立西洋美術館でパレスチナ人虐殺反対のパフォーマンス、警察による介入も
https://www.timeout.jp/tokyo/ja/news/nmwa-stopgenocide-031124
国立西洋美術館では 3月12日から「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? 国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」と題する展覧会が開催される予定だ。
11日はちょうどプレス向けに内覧会が開かれ、説明などが行われていたが、その後、参加作家のひとりである飯山由貴が突如抗議文を読み上げた。その後、上階から「川崎重工/虐殺に/加担するな」垂れ幕が報道陣に向けて垂らされた。
抗議行動は「展覧会出品作家有志を中心とする市民」によるもの。「パレスチナで現在起きているイスラエル政府のジェノサイドに強く、強く反対します」と表明し、国立西洋美術館のオフィシャルパートナーである川崎重工業株式会社に対し、イスラエルの武器の輸入の取りやめを要求。また国立西洋美術館に対しては、川崎重工に対しイスラエルの武器の輸入・販売の取りやめを早急に働きかけるよう訴えた。
https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/protest-nmwa-news-202403
イスラエル製の攻撃型ドローンの導入に向けて輸入代理店契約をしているとの情報がある川崎重工は、初代社長(川崎造船所)・松方幸次郎が西洋美術などを集め、それが「松方コレクション」として国立西洋美術館成立のもととなった。
https://www.khi.co.jp/corporate/kawasaki-nmwa.html
なお、「西洋」美術を展示する国立西洋美術館としては、今回の展覧会が初めての現代アーティストたちによる企画展だという。
ある意味でパレスチナ問題は西洋の歴史の所産とも言える。さらに言えば近代西欧の国民国家・欧米帝国主義の矛盾が噴出しているのがイスラエル国家、パレスチナであり、ガザなのだ。そう考えれば、今の「ガザ虐殺」を間接的につくりだした「西洋」。その虐殺に対してイスラエルを支持するというG7の国々(日本を除く)の象徴としての「西洋」の美術館という場と建物は、抗議するとともに歴史を問い直すものとして最適だったのではないだろうか。
日本は明治以後、西洋になろうと「脱亜入欧」を目指してきたし、それが転換されたとは言い難い。話は変わるが、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の複数の職員が昨年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃に関与したとして、米国がUNRWAへの資金拠出の停止を発表すると、日本政府も28日、資金拠出の一時停止を表明した。UNRWAの活動が止まればガザでの人命が損なわれるだろう。
今回の資金拠出停止は、一部のUNRWA職員への疑惑で組織そのものを罰するという根拠なき制裁だ。また、この情報もイスラエルからの情報提供であり、確定したものではない。人道的危機に対して見過ごすのか。これについては企業のみならず日本政府も対応が問われる喫緊の問題だ。
(本田一美)
国立西洋美術館
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2023revisiting.html