韓国の「検事独裁政権」で朝鮮半島の対立は激化する

ソウルの民主労総事務総局と一部の産別労組に対する家宅捜索を行った

ソウルの民主労総事務総局と一部の産別労組に対する家宅捜索を行った。写真は警察がソウル中区の民主労総ソウル事務所の入り口を規制している様子(ハンギョレ 2023-01-19)
http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/45682.html

1月22日に渋谷区勤労福祉会館において「反戦・改憲阻止!国際連帯1・22集会」が開催された。講演は池田五律さん(戦争に協力しない!させない練馬アクション)の「新しい国家戦略の正体」と迫田英文さん(アジア共同行動日本連絡会議/AWC)と「韓国「検事独裁政権」の登場と朝鮮半島の激化」で、主催は「有事立法―改憲阻止 反帝国際連帯 反戦闘争実行委員会」( 略称・反戦闘争実)。

講演の後に「岩国基地の現状と闘い・22年岩国行動」をAWC首都圏の仲間から報告があり、アイヌ民族の先住権・自決権を訴えるピリカ全国実関東グループから「アイヌの遺骨を返せ」と「北方領土の日反対の集会」のとりくみが報告された。また、沖縄反戦地主会関東ブロックから連帯アピールがなされた。

ここでは「韓国「検事独裁政権」の登場と朝鮮半島の激化」を紹介する。

●迫田英文さんの報告

1.朝鮮半島の情勢

ろうそく革命の結実としてムン・ジェイン(文在寅)政権が発足(2017年)。その後はトランプ政権と朝米の会談が決裂して、関係が冷却化し、米国のバイデン政権が発足して、韓国独自の近接を許さないようになり、2022年にユン・ソンニョル(尹錫悦)が当選し、与党が地方選挙で勝利して、野党の人間が逮捕され、前大統領への対応も注目される。

朝鮮半島にめぐっては新冷戦の明確化で、米英豪のオークスと日米印のクアッドを位置づけ、東アジア版のNATO=軍事同盟の形成に傾注。

共和国内での政権転覆事態が起きた時は介入する計画を米国や中国は持っているだろう。

日本は「台湾有事」をはじめとする中国脅威論を錦の御旗に戦争準備を加速している。韓国も米日韓の軍事同盟にひた走ってる。共和国とロシアが軍事同盟の強化を図っている。

・共和国の軍事的傾向は米帝と韓国・日本帝国主義の軍事的重圧に対するもので、共和国が好戦的であるとは言えない。

2019年のハノイ会談決裂後、共和国は米国の行動を待つとしたが、米国は動かなかった。バイデン政権はオバマ路線を踏襲し、共和国は対話への期待を捨てて核武装の国是化・米国の敵視を明らかにした。

2022年の数多のミサイル発射は、米韓合同軍事演習への逐一の反応と性能確認試験だろう。12月にはドローン5機が北から南へ回遊し、それは撃墜されなかった。米軍ではイラン製とみているが、この事態に米韓軍事基地の危機感が増大している。

2.韓国の情勢

・韓国の軍事動向は新政権は対話を拒否し対立激化へと進む。新大統領は核兵器を放棄しない限り、対話をしないと宣言した。米韓軍事演習の復活と拡大と米日韓の軍事協力を推進。インド太平洋戦略を独自に進めて、台湾海峡問題にも言及した。

米軍核兵器の韓国配置も公言したが、バイデン政権からは否定された。これは核拡散防止条約違反となる。また、有事の際は韓国軍は米軍の指揮下に入る。

韓国の現政権(尹錫悦)は人事を通じた軍・警察の掌握、第一野党代表、市民運動・労働運動への圧迫を始めた。2023年はマスコミを掌握し、労働運動を弾圧し、市民運動の無力化を目指すだろう。

李明博政権(2009年~14年)の第二次の性格がある。国政を私物化して反対勢力には警察権力を動員して弾圧する。側近を政府要因に配置して、日本の安倍政権にも似ている。米韓軍事同盟の強化と日本との軍事協力を強化するだろう。

韓国公安当局の国家保安法違反の容疑の捜査が労働運動に拡大している。2023年1月に民主労総と主要な産別労組(保険医療労組・金属労組の幹部にたいしてスパイ容疑をかけて家宅捜索をした。

民主労総はがんばってて組織も増えているが、非正規労働者や若者に浸透していない。これからの課題だろう。

強制動員労働問題については、まず12.28日韓「慰安婦」合意(2015年)を破棄して、日本政府が日本軍性奴隷制度に関する責任を認めて同被害者への謝罪と補償をおこなうべき。また、「徴用工」=強制動員された労働者の問題については日本国家と企業の責任と賠償を認めた韓国大法院判決(2018年10月31日)に基いて解決すべきだ。

韓国政府は、韓国企業の出資をもとに被害者への補償をおこなう案を公表した。被害者と支援団体は拒否したが、日韓両政府は同案を基に事務協議を進行し、広島サミットでの韓国へのお土産になるものと予想される。

韓国の保守メディアで日本の経団連が「迂回して寄付」をする案が検討されているという。

「日本企業がどのようなやり方であれ負担することが必要だという点で両国政府が共通認識をなしていることが分かった。(中略)日本経済団体連合会(経団連)が社会的責任(CSR)の性格の寄付金を集めて韓国側の日帝強制動員被害者支援財団に伝達する『迂回寄付』方式を検討していることが伝えられた。」(『韓国日報』2023年1月16日)

結論として、朝鮮半島と北東アジアにおける軍事的緊張は今後ますます高まっていくだろう。日本の労働社階級人民は南北在外の朝鮮人民、アジア人民、全世界の人民と国際連帯し、帝国主義の侵略反革命戦争策動を阻止していこう。各国・地域の反戦反基地運動と結びつき、交流し内容を共有しながら、アジアから米国を総撤収させよう。

日米、米韓の合同軍事演習に反対しよう。日本政府と右翼勢力のいうまやかしの「台湾有事論」と暴論そのものの「核共有論」を粉砕しよう。日本企業の労働弾圧に抗して闘い続ける韓国サンケン労組と連帯し、偽装廃業と不当解雇を撤回させ、サンケン電気の謝罪を争取しよう。日本軍性奴隷被害者、「徴用工」被害者など日本の戦争責任・戦後責任を政府にきちんととらせよう。領土問題・教科書記述の歪曲を許さず、真実を伝える教育を実現しよう。ともにたたかおう。

(文責編集部)

■参考

「尹政権の野党弾圧」「やましくなければ堂々と捜査に応じろ」…戦場と化した韓国国会―検察が民主党本部の家宅捜索を試みてから与野党が対立 (「ハンギョレ」2022-10-21)
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/44883.html

韓国警察、「採用強要」で建設労組事務室など34カ所家宅捜索…労働界「公安弾圧」(ハンギョレ 2023-01-20)
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/45703.html