ダニーさんが語る反戦「ともに死ぬのか、ともに生きるのか」
11月20日(水)市川教育会館において「第16回憲法カフェ」が開かれ「武力で平和は得られない―イスラエル軍元兵士が語る平和」と題して、ダニー・ネフセタイさんが講演した。主催は市川教育9条の会。
ダニー・ネフセタイさんは、イスラエル生まれで、徴兵制で空軍に3年務める。退役後は旅をして1979年10月に来日。現在は秩父で家具職人をしながら、全国各地で講演活動する。著書に『国のために死ぬのはすばらしい?』(高文研 2016年)、『イスラエル軍元兵士が語る非戦論』(集英社 2023年)などがある。 ダニーさんは簡単な自己紹介のあと、日本に来て自分の国が見えてきたと話していった。
●ダニー・ネフセタイさん
イスラエルで国を守るために軍隊に入っていた。私の父はポーランドから、母はドイツから来た。イスラエルは日本の四国より少し大きい国で、700万人のユダヤ人とパレスチナ人がいる。ヨルダン川西岸にもパレスチナ人がいる。そしてガザ地区のパレスチナ人との戦争が1年以上続いている。これからどうするのか、ともに生きるのか、ともに死ぬのか。
今の戦争は、実は23年10月7日に始まったのではない。ユダヤ人のシオニズム運動というのがあり、イスラエルは中東戦争でパレスチナの大部分を占領した。
日本のかつて満州国と同じで、イスラエルの地図にはヨルダン川西岸の地図は自国の領土となっている。
イスラエルは徴兵制で私はパイロットを志望していた。高校生のときに適正検査があり、3年間戦闘機の学校にいっていたが、最終的にはパイロットにはなれなかった。結果として人を殺すこともなかった。
軍隊の構造は差別である。良い側と悪い側があり、「ハマスは人間じゃない」といっている。命令に絶対服従でそれでランク付けがされる。そして人を殺しても罪には問われない。すべて暴力(武力)で解決するしかないものだ。
パレスチナで2000年~2005年インティファーダがあり、パレスチナ難民が暮らすガザ地区の周囲に分離壁をつくった。ガザからロケット攻撃があい、アイアンドームという防空システムでミサイルを迎撃する。(アイアンドームは1発で約720万)
またガザへは水やエネルギーを生きるか死ぬかの瀬戸際の供給をしている。ガザへの支援物資も規制して、妨害もしている。このようにイスラエルの軍隊により占領・支配されて、監視されている。占領政策が常態化し、感覚が麻痺してくる。軍を肯定的にみるようになる。
ハマスのテロについては、テロは武力では止められない。テロリストは職業ではない。目的のためにテロを行う。元大統領のベギンは1946年にエルサレムでイギリス軍司令部を爆破しテロリストとして指名手配された。後に1978年の和平ではノーベル平和賞を授与された。
戦争は殺された人はもちろん、殺した人も犠牲者である。多くのPTSD(心的外傷後ストレス障害)で苦しむ人がいる。なぜ戦争をするのか? いくつかの理由がある。戦争時に生まれて必然的に戦争に巻き込まれる。政治家たちの誤った判断により行なわれる。そして洗脳とプロパガンダによる。
私は日本に来て驚いた。代々木公園を歩いていたらシリア人やイラン人がいて普通に話ができた。彼らは敵ではなかった。
時代を振り返えると、地球上で戦争に関わっている人口は少ない。多くの人は戦争していない。今は地球温暖化による海面上昇で土地が水没する世界的な危機があり、戦争している時ではない。戦車はガソリン1リットルで300mしか進まない。町を壊し、環境を破壊する。F35戦闘機は1時間5600リットルで車1800台ぶんだ。それを日本は147機購入するという。1時間600万を消費する。
能登半島地震から復興が進んでいない。なぜか? 防衛予算に取られているからではないか。
国連には通常兵器の禁止条約がなぜないのだろう。つくらないといけない。核兵器は抑止力にはならない。ロシアやイスラエルの戦争をみればあきらかだ。ヒロシマ・ナガサキの教訓とは敵にも人権があるということ、誰もが幸せに生きる権利があるのだ。
(文責編集部)