独立80年 5.18民主化運動45年 韓国・光州を訪れる

昨年の光州(クァンジュ)民主大行進( 光州市提供。「毎日経済」Webより)
2025年は戦後80年だが、韓国にとっては光復(独立)80年であり、日韓基本条約が結ばれ、国交が回復して60年目だ。付け加えれば朝鮮戦争65年だ。そして光州事件<5・18光州(クァンジュ)民主化運動>から45年となる。光州市郊外には民主化を求める市民らが韓国戒厳軍と衝突した1980年の光州事件の犠牲者を追悼、記憶するために「国立5.18民主墓地」が設立されている。今年の民主化運動記念式に参加された方に寄稿をお願いした。(編集部)

高さ40mの石造塔「5.18民衆抗戦追慕塔」
5月16日から20日まで韓国の光州・羅州に行ってきました。案内は、朴孟洙(パク・メンス)先生で5.18民主化運動や東学農民革命の韓国近現代史を学び、北海道大学に4年間も学び、日本語も話せる方です。
日本で言われている「光州事件」や「東学党の乱」、韓国では「5.18民主化運動」「東学農民革命」と言われていてその用語の方がよりふさわしいでしょう。
光州市に着いた夜、ピウム博物館(農具や生活用品の民俗品を多数展示)で光州市民と夕食交流会に参加しました。全南大学校オ・スソン名誉教授から「5.18抗争の歴史的意味解説」と言うテーマでスライドを使い当時の学生・市民と戒厳軍の抗争の様子を話されました。実際に目にした方の話で訴えるものがありました。その後、当時の学生たちに市民が提供した「おにぎり」を5.18民主化運動を偲び、参加者全員で夕食としていただきました。
翌日17日、国立5.18民主墓地に行きました。5.18抗争の現場で亡くなられた165名の墓地でもあり、2006年に「国立5.18民主墓地」として建設されました。正面に高さ40mの石造塔「5.18民衆抗戦追慕塔」が目に入り、その奥に第1墓地があり、整然ときれいに並べられていました。土葬なので土が盛り上がっていてその前の墓標に名前と生年月日と亡くなった年月日、写真が刻まれていました。その中には、十代の高校生で亡くなられたものもありました。記念式の前日でしたが、いくつかの組合やグループ、多くの若者たちが参拝で来ていて、混雑していましたが、不当な国家権力、戒厳令に立ち向かった出来事を継承していこうとする姿が見えてきました。
そして、5.18民主化運動の出発点になった全南大学校を見学しました。校内には、5.18民主化運動で亡くなった学生運動のリーダーの紀念石碑が10カ所も展示されていました。
夕方から夜にかけて5.18前夜祭が行われ「錦南路」では、道いっぱいに太鼓、笛等で幾つもの集団が踊り回って民主化を祝っているようでした。
18日、5.18民主化運動記念式に参加しました。大統領選で進歩系野党の候補者、李在明氏が目の前を通り過ぎると大きな拍手と歓声がわきました。彼は、5.18民主化運動のことを憲法前文に書き込む公約を発表したと言われていました。
午後に東学農民革命のゆかりの地羅州市に入り、始めに「羅州宮三面抗日農民運動記念碑」を見学、農民の土地を失ってたことに反対する運動を記念する石碑です。
次に「東学農民軍犠牲者を悼む謝罪の碑」を見に行きました。日清戦争中、日本軍に反対した農民軍が武力で弾圧され約3万人が犠牲になったと言われています。この碑の裏面に日本の市民と羅州市民が協力して建てた事が刻まれています。翌日、木浦市にある、「金大中ノーベル平和賞記念館」に行きました。
この旅は、現地をこの眼で見るだけでなく朴孟洙先生を始め同行した参加者からも多くのことを学ばせてもらいました。韓国では、民主化、人権、社会変革の継承を常になされていました。
(大岩)

「東学農民軍犠牲者を悼む謝罪の碑」
