米国からの暴力に晒されたベネズエラから現地報告 日本はどうする

バリオ会議2025年11月25日の様子。バリオとは都市周縁に住む低所得者層の居住地)。

バリオ会議、2025年11月25日の様子。右がマドゥロ大統、左が建築家の山本理顕氏。バリオとは都市周縁に住む低所得者層の居住地 (youtubeより)

1月24日(土)にベネズエラ情勢報告会がオンラインで開催された。1月3日のトランプ米政権によるベネズエラ軍事進攻とマドゥロ大統領拉致があった。その後のベネズエラと国際情勢について、ベネズエラ現地からと日本の研究者からの報告を受けた。主催は日本AALA(日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会)。
https://www.japan-aala.org/2026/01/post-2782/

内容はベネズエラからの中継と日本の三人の研究者からの報告で以下、当日のスケジュール、及び表題を記す。いずれも密度の濃いものであった。ここでは大久保史郎さんの報告を紹介する。
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第1部
「アメリカの侵略とどう立ち向うか」 ヘスス・ファリアさん ベネズエラ与党社会主義統一党(PSUM)・全国統一指導部で元貿易大臣をつとめた国会議員の。ベネズエラからの生中継。

第2部
①「事件の国際的影響と日本の針路」:羽場久美子さん(国際政治・青山学院大名誉教授)  
②「ベネズエラのコムーナ運動の現状」:岡部明子さん(都市工学・東京大学教授)*
③「トランプ政権の暴政をどう抑えるか」:大久保史郎さん(憲法学・立命館大学名誉教授)

第3部
ベネズエラ・ポルトゥゲサ州(中西部)から{「ベネズエラ庶民の生活について」
ウラジミール・ニーニョさん 弁護士、教育省公務員、コムーナ運動活動家
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バリオ会議2025年11月25日の様子(youtubeより)

バリオ会議2025年11月25日の様子(youtubeより)


「トランプ政権の暴政をどう抑えるか」大久保史郎さん(立命館大学名誉教授)

まあ時間がないのでコンパクトに言いますけど、とにもかくにもですね、私たちのことは今、自分たちがどこにいるかっていうことを、その縦から横から、あるいは外から内側から、空間から時間からっていつもそういういろんな角度から自分たちが置かれている状況をできる限り客観化すると。

その中で自分の進路を決めていくってことが大事だと思うんですね。で、あのトランプの政権について言いますとね、あのトランプ政権っていうのは、まあ個人がとんでもないことをやってるわけですね。個人プレーが多いわけです。

それを喜ぶアメリカ人もいるんですね。痛快だという。エリートじゃないっていうので、しかし、彼がやっている、あのー貿易政策とか反移民とか、あるいは政府の官僚機構をものすごく攻撃して解体しようとしてるんですね。

真面目な官僚たくさんいるわけです。で、オバマケアっていうね、福祉関係を解体するとか、その中心にキリスト教ナショナリズムがあるとか…あるんですが、そういうことはトランプはやってるようだけど、実は大統領選挙の前からのその「プロジェクト25」っていうのが一番批判されたんだけど、そういう政策に沿った大枠の中でちゃんと動いてるんですね。

だから単なる個人プレーじゃないんですね。大きな保守の流れがあります。で、それがどうなのかで、そこにはもう今現在、彼がやってる政策はこの法の支配とか司法に対する攻撃とかね、あの権力分立を無視してんじゃないかとか、政教分離というものを無視してるとか、市民的自由を侵害してるとか、それをアメリカの国内ではいろんなことが起きてるんで、それが十分見えなくなってると思いますが、ただ、にもかかわらず、トランプ政権みたいなものが、なんでこんなのがアメリカで登場したんだっていう、そのなぜこんな事態に至ったのかっていうことがすごく大事だと思います。

非常にまあ簡単に言うとね、経済的に言うと、あの世界でこの30年間、グローバリズムとか、新自由主義とか、すごい経済格差が世界的にも、あるいは日本でも進んでいるわけですね。

それが実は、本体の本国のアメリカでもね、実はこの30年間ずっと進行してたんですね。で、その中から貧困格差というのはすごい、従来のアメリカの中でも元々あった中でも、広い規模で貧富格差、富裕層と貧困層との差が出てきてるんですね。

それに対して保守派の方から特に非常に危機感を持った。で、共和党の方のところが、まあ単なる共和党の右派の横暴っていうよりも、根深いその現状の中から共和党がまあいう、いわゆるトランプ党に乗っ取られたんだって言われてんですけれども、そういう全体の共和党の機能麻痺。

民主党の方もね、実はリベラルのことだというけども、実はそのエリート層とそうじゃない層との乖離っていうのが進んでですね、アメリカの共和党、民主党っていう政党システム全体の中で、解体が進んでたんですね、これはもう実は90年代のクリントン政権から実は始まってたというふうに言われてるぐらいですし、だから、そういうアメリカ中の矛盾っていうのが出てきて、その中で一番最貧困層というのはなかなか見えてこないんですよね。

これ日本国憲法につながるんだけど、人権と人間の尊厳、価値、男女及び各国の同権、そこから出発するんだと。自国のことのみのみに専念してはいけない。これ実は国連憲章なんですね。ただ、その時に実際にやる時は大国による平和っていうことを考えたんだけど、それをずーっと現時点まで来て、これが崩れて大きく変わってくると、これがもう一回やり直しみたいになってきてる。

大国主義の終焉だとも言われている。そこで私は二つ言いたいんですね。一つは、実はこの間、ダボスの経済、ダボスの会議があって、カナダのカーニー首相が自分たちっていうものは、これからもうすでに事態は過渡期というよりも新しい段階に入った。

大国の国際関係は終焉する。自分たちは原則に基づくと、この原則っていうのは、人権の尊重とか持続的な開発とか、連帯、主権、国家の領土的一体性、こういう価値を私たちは守ってきた。同時に、このように各国や世界が分断が進む以上は、自分たちはそういう意味じゃ現実的にプラグマティックに対応しながら力をつけていくという。

そういうのをカナダの場合はミドルパワーっていうんですが、そういう動きというもの。ごく最近ですね、カナダは欧米とも防衛とかいろんな点で手を結ぶけれども、同時に中国とも提携する、経済的な提携をする。

中国に対する民主的批判は続け、それは維持するけれども、きちんと今の現状の中で中国とも手を、すなわち多角的にバランスを取っていく、こういうことをカーニー首相は言って言ったんですね、この間。しっかりそれを出して、世界から喝采を受けたそうです。

もう一つ最後に残っているのは、日本の(戦後)80年をどう考えるかなんです。私はちょっとね、人から批判されるかもしれないけど、この日本ね、実によくまあやってきたと思っていますよ。右も左も含めてね。日本国憲法をとにかく維持してきて、バランスを取って、着実に民主主義っていうのを定着させた。

いろいろと問題があるんだけど、その80年間はその基礎は平和です。戦争に巻き込まれなかった なんとかこの回避してきた。いつも安保だとかいろんな問題あったんだけど、このような80年間っていうのも、自分たちの戦後80年間をきちっと冷静に客観化して、次の道へ進んでいかなきゃいけないっていう地点に立ってる。

そういう目でアメリカとの関係も考えなきゃいけない。中国とも批判と連携を取らなければいけない。このところが私たちが今問われている一番大事なことじゃないかなと思います。まあ、そういうことで、その意味でのグローバルサウスの動き、今日のたまたまこういう機会だったので、ちょっと話をさせていただきました。

(文責編集部)


「悪 vs. 正義」の構図を超えて ベネズエラの「コムーナ」が問う人間の尊厳と民主主義 (朝日新聞globe 2026.01.08) 岡部明子
https://globe.asahi.com/article/16269404

ベネズエラ大使館 (@venezuelainjpn) • Instagram(インスグラムより)


https://youtu.be/keQzdzvVXms?si=jmhOmx1_2uJOeHBb