川口は共生のまち 在日クルド人へのヘイトを許すな!

1月11日、川口市での外国人差別反対デモ(東京新聞ウェブ 2026年1月12日より)
2026年2月23日、川口市立青木会館において「排外ではなく共生へ-在日クルド人と共に暮らす」と題して、講演会が開かれた。話者は温井立央(ぬくいたつひろ)さん。2021年にNPOの「在日クルド人と共に」を立ち上げて、現在はその代表理事である。主催は川口市平和委員会。川口市民など72名が参加して熱心に話を聞いた。
講演後はヘイトが飛び交っている現状を憂う市民たちが発言。地元でボランティアで日本語教室に参加している方は3年前からクルド人が増えた、今教室は19あり参加してほしいと語る。
また、川口市議2名が発言し、川口市にヘイトを撒き散らす人が来る。川口は戦前から鋳物工場があり、外国籍の人が多かった、多文化共生の街づくりを進めたい。差別を政治利用している。ヘイトスピーチ禁止条例をつくりたいと、それぞれの想いを参加者へ伝えた。
川口の教員からは、複数名の組合員(教員)が参加している。子どもたちと学んでいる。差別する子どもにしてはならない、そう思う。今、中国籍の子どもが半数いるクラスもある。国語をどうするか、理解できない子どもがいる。人が足りないので週2時間だけ日本語を教えるしかない。悩みながら組合の場で話す。外国人の教育をテーマとして学習会を開きたい…など多様な意見交流があり、皆、情報への不満や川口市民自身が現状について焦燥に駆られていると同時に、苛立ちを感じていることが理解できた。

会場では多くの市民が温井立央さんの話に耳を傾けた
■温井立央さん
クルド人は中東に住む独自の言語と文化を持つ民族で、推定人口は2000~3000万で「国を持たない最大の民族」と言われる。宗教はスンナ派ムスリムが多数だが、シーア派やキリスト教、ユダヤ教、ヤズィディー、アレヴィーに属する人もいる。
居住地は「クルディスタン」と呼ばれるが、第一次世界大戦後にトルコ、イラク、イラン、シリアなどに分割され、少数派となったクルド人は迫害や弾圧をうけてきた。世界各地に離散・定住している。なかでもドイツは100万人を超える。
1923年のトルコ共和国建国後、独立を求めるクルド人の反乱をトルコ政府は武力で鎮圧し、過酷な同化政策を推し進めた。1974年にアブドゥッラー・オジャランはクルディスタン労働者党(PKK)を結成、1984年からクルド人の独立国家樹立を掲げて武装闘争を開始した。トルコ治安部隊との衝突でこれまで4万人以上が亡くなった。
現在はクルド語の放送と教育が条件つきで解禁されているが、十分保障されていない。2025年にオジャランはPKKの武装解除と解散を呼びかけ、PKKは武装闘争の終結と解散を発表した。しかしクルド政府の弾圧は続いている。
1990年代から日本にクルド人が来日して難民申請をおこなってきた。日本の難民申請率は極めて低く、なかでもトルコ国籍のクルド人の難民認定は皆無に等しい。2022年まで誰一人として難民認定されなかった。例えば2019年におけるトルコ出身申請者の難民認定率はドイツ45.2%、米国86.2%、カナダ97.5%に対し日本はゼロである。
2025年6月現在の在留外国人統計によると、日本に暮らすトルコ国籍の人々は7842人で、1番多い埼玉県が2394人、次いで愛知県(1848人)、東京都(1374人)となっている。
埼玉県内では川口市が最も多く1439人が暮らしている。在留資格のない非正規滞在の仮放免の人が700人ほどいるので、埼玉県には約3000人のトルコ国籍の人々が暮らしており、大半がクルド人であると推察される。その多くは解体業に従事している。
埼玉県川口市の全人口は60万7447人(2025年)で、外国籍人口は4万8161人で7.9%である。外国籍では中国が5割を占めて、トルコ国籍は外国籍人口の3.1%、全人口の0.2%に過ぎない。
今、クルド人へのヘイト、差別、排斥が激しくなっている。例えば圧倒的に多いのは日本人の犯罪なのだが外国人が犯罪を犯すと、誰それの〇〇人が悪いと、人そのものよりも、属性(民族・国など)を責める。犯罪を当てはめる。そして憎しみや暴力の先導をおこなう。
クルドの婦人が殴られてりして被害がでている。会(「在日クルド人と共に」)にも多くの酷いメールが届く、メールを書いた人に会ったが、当人はクルド人とはまったく無関係でヘイト行為を開き直る。
日本政府は「不法滞在者ゼロプラン」を2025年5月から始めている。2025年8月までに強制送還された人数は203人、国籍別ではトルコが最多の41人で最も多い。
個人が強制送還され、家族が引き離されたりする。日本で育った子が送還されたり、親子が離ればなれになったりする。送還直前まで学校に通い。運動部の練習に参加していた中学生が帰宅後に入管職員によって連行されて、家族とともに送還されたケースがある。先生は子どもが突然送還されたことに強い衝撃を受けて愕然としていた。別の家族のケースでは日本で生まれた子どもも送還されている。
ネットの情報を鵜呑みにしてクルド人を畏れたりしている人もいる。2025年10月12日には日本第一党がヘイトデモをおこなった。日本第一党は在特会の後継団体だ。このようなヘイトスピーチにより、ヘイトクライムが起きる。それがジェノサイドへと発展する。かつて関東大震災で起きたのが朝鮮人虐殺事件だった。そのようなことを繰り返してはならない。
私たちは2020年から、日本語教室を開始している。成人男性から始まり女性や子どもも、のべ800人の学習者と900人のボランティアが参加した。中学から成人まで幅広い人が参加している。ボランティアの方が実際に会うと、普通の「人間」なのだと理解する。
医療相談もおこなっている。仮放免だと国保に加入できず自己負担となるため、病院への同行や医療費相談に対応している。埼玉協同病院と連携して川口市に対しても連名で要望書を提出している。
また、ゴミ出しについてのチラシを作成して配布している。クルドの人たちは基本的なことが分からないので情報を届けることが大事だ。平和的に暮らす権利が脅かされているとして、クルドヘイト裁判がある(第5回公判 2026年5月13日)。川口市の市長選挙では「外国人政策」が争点のひとつとなったが、複数の候補者が堂々と「外国人排斥」を訴えるヘイトスピーチ野放し状態となる。また、チラシのポスティングも同様だ。
このような脅迫や不安の晒される外国籍の方々に対して、行政の対応が求められている。外国籍住民も地域で暮らす同じ市民だ。例年「ともくらフェス」を開催して様々な国や地域の飲食物や物品を販売し、メインステージでは踊りや音楽などの文化的イベントを行っている。この間(1月)は「ごちゃまぜ川口ノーヘイト・マーチ」と題したデモがあり1200人が参加した。日本の人もみんな明るい顔で、声をかけたり、喜んで街に出てきた。
(文責編集部)

「ごちゃまぜ川口ノーヘイト・マーチ」のよびかけ(「在日クルド人と共に heval」ウェブサイトより)

西川口駅近くの多国籍なスーパー。集会終了後に駅周辺を歩いたがアジア各地の店があった
